- 2025/08/08 掲載
上場企業4~6月期、3期ぶり減益=関税で自動車打撃、通期もマイナス
上場企業の2025年4~6月期業績は、3期ぶりの減益になりそうだ。トランプ米政権の高関税政策が自動車業界を直撃、全体の収益を押し下げた。26年3月期通期の見通しも6期ぶりの減益が見込まれ、コロナ禍を経て順調に拡大してきた企業業績に影が差している。
SMBC日興証券が、東証株価指数(TOPIX)採用の3月期決算企業1146社を集計。7日までに決算を発表した823社(開示率71.8%)の4~6月期の利益項目はいずれも減益となった。このうち純利益は前年同期比10.2%減の11兆2773億円で、自動車業界は純利益が4割落ち込み、全体を圧迫した。関税影響に加え、為替相場の円高進行も響いた。
電気・ガスと鉄鋼の純損益は、いずれも赤字に転落。電力は、東京電力ホールディングスが多額の廃炉費用を計上し8576億円の赤字に転落したことが影響。鉄鋼では、米鉄鋼大手の買収関連費用が膨らんだ日本製鉄の最終赤字に加え、鋼材の市況悪化も響いた。
一方、ソフトバンクグループの業績改善は全体の純利益を4.5%押し上げる効果があった。このほか、電気機器も人工知能(AI)と半導体関連の旺盛な需要を背景に好調だった。
上場企業の通期純利益予想の合計は、前期比6.9%減の50兆1910億円を見込む。減益は20年3月期以来。日米交渉の合意によって、自動車関税は現行の税率から引き下げられ、相互関税も通告された水準よりは抑えられる見通しだ。だが、SMBC日興の安田光チーフ株式ストラテジストは「業績へのマイナス影響は残る。最も影響を受ける自動車には向かい風が吹いている」と警戒感を示した。
【時事通信社】
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