- 2025/08/19 掲載
香港の不動産開発業者、来年償還の社債急増で財務が逼迫
[香港 18日 ロイター] - 香港の不動産開発業者は売上高の減少と不動産評価額の低下に直面する中、来年に償還される社債が約70%増えるため、財務が逼迫しそうだ。
香港の不動産開発会社ロード・キング・インフラストラクチャー(路勁基建)は先週、社債の利息支払いができずデフォルト(債務不履行)が確定した。香港を拠点とする不動産開発会社としては2021年に中国の不動産危機が始まって以降で初めての事例となった。
アナリストらの話では、香港では商業用不動産部門が短期間で回復する見込みは薄い上、新たな資金の調達先も減少しており、債務の返済に苦戦する不動産開発会社が増えそうだ。
LSEGのデータとロイターの集計によると、2026年に償還される香港の不動産開発会社の社債は71億ドルと、今年の42億ドルから大きく増える。
S&Pグローバル・レーティングスのアナリスト、エドワード・チャン氏は向こう12─24カ月で債務不履行に陥る中堅不動産開発業者が増える可能性があると予想。銀行が中堅業者向けの融資を削減しているためだ。
チェン氏によると、不動産開発会社はオフィス物件と店舗物件の資産を売却して資金を調達するのが困難になっているため、資金繰りが厳しくなっている。これらの物件は評価額が2019年のピーク時から50%余り下落しており、持ち直す気配もないという。
一方、物件の投げ売りが増えれば、評価額は一段と下落し、手元資金が潤沢な開発業者を含めて業界全体に影響するだろう、とアナリストらは話している。
香港の不動産開発大手、新世界発展は来年に1億6800万ドル、2027年には6億3000万ドルの債務が返済期限を迎える。同業の麗新発展は来年が返済期限の債務が5億2400万ドルだ。
香港の不動産開発業者の債務は、大部分が銀行からの借り入れだ。
不動産向け不良債権が増える兆候として、ハンセン銀行は今年上半期に香港の商業用不動産に対して25億香港ドルの減損処理を実施、減損処理額は前年同期比224%増えた。
ハンセン銀行の親会社であるHSBCは内部モデルを更新し、香港の商業用不動産向け融資のうち信用リスクが重大と判定されるが、まだ債務不履行を起こしていない債権が今年6月末時点で181億ドルと3倍に膨らんだ。
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