- 2025/09/25 掲載
ドルの地位、関税で低下も 現時点では基軸通貨の座を維持=研究
[ワシントン 25日 ロイター] - トランプ米大統領が4月に発表した「解放の日」の相互関税は、安全通貨としてのドルの地位を脅かしたが、その後、関税率を引き下げたことで、現状では地位を維持できている可能性が高いとの研究結果が示された。
研究はボストン大学のタレク・ハッサン教授、サンフランシスコ地区連銀のトーマス・マーテンス副総裁、中国人民大学のJingye Wang氏らがまとめた。
この研究によると、ドルがリスクフリー資産として米国への投資を呼び込み、相対的に低金利で資金を借り入れられる米国の「法外な特権」は、開かれた貿易と密接に結びついている。この関係性により、他国の経済が米国の動向に強く影響される。
保護主義はこうした結びつきと、それに伴う恩恵を弱めることになる。今回の研究によると、関税率は26%が分岐点となり、この水準に達すると、ユーロなど競合通貨が世界経済でドルよりも中心的な役割を担うようになる。
トランプ大統領が実際に課した平均関税率は、現在およそ17─18%と推定されており、ドルの役割が低下する可能性はあるものの、完全に損なわれる水準ではないという。
「米国に衝撃が及ぶと、世界の需要の大きな部分に影響が出るため、ドルは世界一安全な通貨として浮上する」とし、為替などのリスクに対するヘッジとしてドルの需要が高まると指摘。
「この安全資産としてのドルの特徴が重要な力となって、米国の金利が下がり、米国が世界の投資先と為替安定化の対象となる」としている。
また「持続的な貿易戦争はこの均衡を脅かすだろう」と指摘。
「ドルの安全通貨としての地位は、相対的に自由な貿易に決定的に依存している。米経済を世界の貿易フローから切り離せば、ドルを世界一安全な通貨にしている力が弱まる」と分析した。
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