- 2025/10/09 掲載
日本の大手金融5社首脳、国債格下げリスク「当面低い」 財政健全化は要請
[東京 9日 ロイター] - 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)などの大手金融機関5社のトップは、都内で開催されたシンポジウムで、日本の国債格下げリスクについて「当面は低い」との見解で一致した。一方で、近く発足する見通しの新政権には財政健全化への継続的な取り組みと市場との対話を求めた。
三井住友フィナンシャルグループの中島達社長は、税収増加とインフレ傾向による債務負担の軽減を挙げ、「足元ではソブリンリスクはむしろ和らいでいる」と説明。自民党の高市早苗新総裁の「ワイズスペンディング(賢い支出)」といった発言が財政規律維持への安心感につながっているとの見方を示した。
MUFGの亀澤宏規社長は、少数与党政権が続いて財政拡張に動けば「リスクが出てくる」と指摘。今後の財政運営や政治情勢で市場が格付けに先行して反応する可能性があるとし、「マーケットの声をよく聞いていただきたい、そのことが非常に大事」と話した。
みずほフィナンシャルグループの木原正裕社長は、政府には成長と財政の両立を意識し、財政健全化への取り組みを継続して市場に丁寧に発信することが重要だと語った。
また、日銀の金融政策について、MUFGの亀澤社長は「利上げの方向でいく」と基本的に正常化へ向かうと予想。米国経済の行方には注視していく必要があるとした。SMFGの中島社長は、「日本の金利正常化はまだまだ序盤戦で、野球に例えれば、まだ2回の裏ぐらい」との見方を示した。
自民党の高市総裁就任以降、株式市場では日経平均株価が連日高値を更新している。野村ホールディングスの奥田健太郎社長は、日本企業の統治改革などに触れた上で、地政学リスクによって「アジアのオルタナティブ投資先として日本の注目度が高まっている」との見方を示した。デフレ脱却への確信と円安の進行などにより、海外資金の流入は当面続くとした。
大和証券グループ本社の荻野明彦社長は、同社の日経平均の年末見通しを4万9000円に上方修正したといい、新政権にも「資産所得倍増プラン」などの政策を着実に継承するよう求めた。さらに、日米関係の強化や通商協議の深化による関税引き下げなど、外交面での成長戦略も重要だと話した。
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