• 2025/10/10 掲載

デジタルユーロ導入、危機時に預金7000億ユーロ流出も=ECB

ロイター

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[フランクフルト 10日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は10日、デジタル通貨が銀行部門に及ぼすリスク評価の結果を公表した。商業銀行に取り付けが発生した場合、最大7000億ユーロ(8108億8000万ドル)の預金が流出し、10行以上が流動性危機に陥る可能性があるという。

一部の政治家や銀行関係者は、デジタルユーロの導入によって銀行預金の流出が起きることを懸念している。ECBは「安全資産への逃避」を含む複数シナリオを検証した。

個人のデジタルユーロ保有上限を1人当たり3000ユーロに設定した場合、商業銀行で前例のない取り付けが起きたときには、預金者は銀行から6990億ユーロを引き出し、デジタルユーロに移す可能性があるという。これは小口の要求払い預金全体の8.2%に相当し、とりわけ中小規模の銀行や小口に特化した銀行への影響が大きいと指摘した。

分析対象となった銀行のうち13行は、流動性カバレッジ比率(LCR)の基準を満たせなくなるという結果になった。

ECBはこのシナリオの発生確率は「極めて低い」としている。また一部の預金者が複数の銀行口座を保有している事実を織り込んでいないため、流出額は過大評価となっている可能性があるとも指摘した。

一方「通常シナリオ」では、銀行からの資金流出は1000億ユーロ強にとどまり、銀行部門は流動性要件を十分に満たすとした。また現金から電子決済への移行が進むことで銀行預金が増え、資金流出が抑制され得るとの見方も示した。

ECBは個人のデジタルユーロ保有上限を500ユーロ、1000ユーロ、2000ユーロに設定したケースのシミュレーションも実施し、上限が低いほど預金流出額は小さくなることが示された。

「保有制限により預金流出は、金融システムの安定を守り、金融政策の適切な策定・実施を支える水準に抑制されることが確認された」と説明した。

3000ユーロの保有上限では、銀行の自己資本利益率(ROE)が平均で30ベーシスポイント(bp)低下する一方、影響度合いは国によって異なることも明らかになった。

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