- 2025/10/29 掲載
アングル:NT倍率が最高水準に接近、日経平均の「AI指数」化を反映
[東京 29日 ロイター] - 日経平均が初の5万1000円台まで上昇する中、日経平均とTOPIXの比率であるNT倍率が急上昇し、過去最高水準に接近している。AI(人工知能)関連に偏った物色が背景にあり、日経平均の「AI指数」化を意識する声もある。少数の銘柄が値動きを左右しやすく、ボラティリティが高まるリスクがつきまといそうだ。
「このところの日経平均はAI指数になってきたようにみえる」と、りそなアセットマネジメントの戸田浩司ファンドマネージャーは話す。日経平均の最高値更新をけん引したのは、AI関連と目されるアドバンテスト株の急騰だ。前日発表の決算が好感された同社株は日経平均への寄与度が高く、1銘柄で日経平均を1000円超押し上げた。
こうした中で注目されるのがNT倍率の急騰だ。後場に一時15.66倍とLSEGのデータでさかのぼれる2007年以来の最高水準である2021年3月の15.68倍に急接近した。
日経平均が2.1%高となった一方、TOPIXは0.2%程度マイナスとなるなど方向性の違いがNT倍率を拡大させた。「きょうの日経平均の上昇は日本経済への期待というより、AI関連への評価といえる」と戸田氏は話す。
AI関連株の人気は、中国発AIのディープシークの台頭によるショックや米関税ショックを経て春先にいったん小康となったが、ソフトバンクグループ(SBG)などが主導するAIインフラ投資などの大型プロジェクトの発表が相次ぐ中で復調し、上昇基調を強めてきた。米国の利下げ継続への思惑が米ハイテク株を押し上げていることも、国内関連株のつれ高を招いている。
アドバンテストは純利益見通しを上方修正し、市場予想を上回ったことが好感された。「AI市場の拡大が業績に結び付いていることが改めて確認され、関連銘柄の今後の決算への期待にもつながる」(りそなAMの戸田氏)との見方もある。
<ボラティリティ上昇のリスクも>
一方、日経平均に占めるAI関連株の構成比率(ウエート)が高まっていることにも関心が寄せられている。
これまで、ファーストリテイリングが10%超と頭ひとつ抜き出ていたが、AI人気が高まる中で、アドバンテストやソフトバンクグループも10%前後へと急速にウエートを高めた。東京エレクトロンを含めた4銘柄でウエートは39%を占め、AI関連の3銘柄では28%となる。
こうしたウエートの偏りが、さらなる偏りを促している側面も意識されている。
日経平均をベンチマークとして運用するアクティブ投資家を中心に「インデックスに後れを取らないために一番効率的なのは、指数ウエートの高い銘柄を買うことだ」とフィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッドは指摘する。
それがウエートの高い銘柄の買いに拍車をかけている面があるという。一方、下落時には逆のことが生じ得るとして「ボラティリティが高まるリスクはつきまといそうだ」と増沢氏は話している。
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