- 2025/12/01 掲載
3大格付会社、英予算に一定の評価 高い執行リスクも指摘
[ロンドン 28日 ロイター] - 格付け大手3社は英国のリーブス財務相が26日に発表した予算案に関し、高い執行リスクを伴うものの、政府による財政再建の取り組みと見なせるとして慎重ながらも評価した。
ムーディーズは28日、予算案の増税と支出計画は前週に同国の見通しを「安定的」、格付けを「Aa3」に据え置いた判断に合致する内容だとした。
予算に盛り込まれた増税により、財政赤字の国内総生産(GDP)に対する比率は今年、2024年の6%から約5%に低下すると予想される。財政赤字の対GDPは26年には約4%に下がり、その後もスターマー政権の任期中はゆっくりと下がり続けると見込まれている。
<債務比率は上昇へ>
ムーディーズは「これほどゆっくりとした財政再建ペースは、政府債務の比率が緩やかにではあるものの、上昇し続けることを意味する」と指摘。債務の対GDPは2030年までに、今年の約103%から107%弱へ上がると予想した。
ムーディーズは「財政を目標に沿った軌道に戻す政府の積極姿勢は前向きと評価できる一方、執行リスクは依然として高い」と強調。「近年、政府支出は一貫して当初予想を超えており、財政赤字と債務が上振れする結果となっている」と付け加えた。
フィッチは27日、予算案は同社の想定と「ほぼ一致」しているとしながらも、「かなりの執行リスク」を伴うと警告した。総額260億ポンド(GDPの0.7%相当)規模の新たな増税の効果が29年半ばごろまでは実感できないためだ。
<世論調査での政権支持率低迷>
労働党は2024年7月の総選挙では地滑り的勝利を収めたが、最近は相次ぐ失態を受け、世論調査の支持率は右派政党「リフォームUK」の後塵を拝している。
フィッチは「与党党労働にとって厳しい政治情勢は、政権の支持率低迷によって悪化しており、政策が反転するリスクを浮き彫りにしている」と言及。最悪のケースでは、29/30年度までに歳出を歳入と均衡させる「財政規則」が破棄される可能性があると付け加えた。
S&Pグローバルは予算案について「重大な」新たな歳入拡大措置が盛り込まれたにもかかわらず、「中期にわたって」格付けに対する圧力がかかり続けると予想した。
S&Pグローバルはまた、政府は次の総選挙を控えて発表済みの増税措置を後退させるかもしれないとの見方を示した。同社の英国担当アナリストらは「当社は英国の財政状況が脆弱であり、ソブリン格付けを制約する一つの要因になると考えている」とコメントした。
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