- 2025/12/13 掲載
日銀、0.75%に利上げへ=来週の決定会合で、30年ぶり水準―賃金改善の継続見込む
日銀が18、19両日に開く金融政策決定会合で、政策金利を引き上げる方針を固めたことが12日、分かった。利上げは1月以来、7会合ぶり。現行の0.5%から0.75%に引き上げる。1995年9月以降、政策金利が0.5%を超えたことはなく、約30年ぶりの高い水準となる。良好な企業業績を背景に、来年の春闘でも堅調な賃上げが続くと見込まれることから、金融正常化の再開に踏み切る。
積極財政と金融緩和を志向する高市政権が今年10月に発足した後、日銀が利上げするのは初めて。仮に利上げを見送って急激に円安が進行すれば、輸入物価が高騰してインフレが加速する恐れがある。このため、物価高対策を重視する政府は政策変更を容認する姿勢だ。日銀は、株価の暴落や政局の混乱といった不測の事態が起きないか見極めた上で、19日に利上げを最終的に決定する。
日銀は1月の利上げ後、トランプ米政権の高関税政策の影響を懸念し、大規模な金融緩和の修正をいったん休止。来春闘に向けた賃上げの勢いが継続すると確認できれば、利上げを再開する方針を示してきた。
日米が7月に関税交渉で合意したことなどで世界経済の不確実性が後退し、国内景気への悪影響は当初の想定より限られる公算が大きくなっている。日銀は本支店のヒアリングなどを通じて賃上げの情報を収集しているが、来春闘で一定程度の伸びが継続すると手応えを感じているもようだ。このため日銀は、経済・物価の改善が今後も継続し、2%の物価目標実現の確度が高まっていると判断している。
金融市場では今後の利上げペースに関心が移り始め、景気を刺激も抑制もしない「中立金利」の水準が注目を集めている。日銀は現在、1~2.5%の間にあると推計しており、0.75%に利上げすると下限に近づく。植田和男総裁は今月1日の名古屋市での記者会見で次回の利上げに際し、「(中立金利まで)どれくらい距離があるのか、考えをもう少しはっきりと明示したい」と述べていた。
【時事通信社】 〔写真説明〕10月30日、金融政策決定会合に出席するため日銀本店に入る植田和男総裁=東京・日本橋本石町
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