- 2025/12/17 掲載
「デジタル」加速が課題=預金獲得・経済圏争い激化―三菱UFJ新体制
国内最大手の金融グループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が傘下銀行や証券も含むトップ交代人事を発表した。足元では「金利のある世界」の到来による利ざや改善で過去最高益を享受するが、その源泉である預金の獲得競争は激化。異業種を交えた経済圏争いも本格化している。新体制では、収益基盤維持のカギとなるサービスのデジタル化を早期に軌道に乗せることが重要課題となる。
「人工知能(AI)を含めたデジタルの経験をフル活用していきたい」。三菱UFJ銀行次期頭取の大沢正和専務は16日の記者会見でこう力を込めた。頭取人事は当初、半沢淳一現頭取と同様に経営企画部門が長い高瀬英明専務の昇格が有力視されていたが、最終的にデジタル事業を率いた経験を持つ大沢氏が起用された。亀沢宏規MUFG社長は「新しい時代へ変革するのを引っ張ってほしい」と期待を示す。
MUFGの国内の個人預金口座数は約3300万。法人も含め約174兆円の預金残高が収益力の源泉だ。ただ、金利の上昇で融資によって利益を得られる環境が復活し、金融業界は預金争奪戦の様相を呈している。インターネット専業銀行が高金利の定期預金で攻勢をかけるほか、三井住友フィナンシャルグループは口座やカード、ポイント、証券などをアプリで一元管理できるサービス「Olive(オリーブ)」で顧客数を伸ばす。
決済の利便性やポイントを売りに顧客囲い込みを図る電子商取引(EC)業者など異業種が手掛ける金融サービスとの争いも激化しており、最大手といえども預金や顧客の流出阻止へ安穏としていられないのが実情だ。MUFGは6月にデジタル総合金融サービス「エムット」を立ち上げたが、中核となるデジタル銀行の設立やその銀行への生成AIを活用した資産運用サービス導入などはまだこれから。巻き返しへ新体制の手腕が問われる。
【時事通信社】
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