- 2026/01/12 掲載
FRB議長に召喚状、政権の圧力未踏の領域に 市場に新たな不安材料
[12日 ロイター] - トランプ米大統領の連邦準備理事会(FRB)への圧力は、パウエル議長を刑事捜査の対象とする事態に進んだ。世界で最も重要と言える中央銀行が政治の介入を受け、金融政策を決定する独立性が危機に瀕している。金融市場は新たな不安材料を抱えた。
パウエル氏は11日、FRB本部改修について昨年夏に行った議会証言を巡り、司法省から刑事訴追の可能性を示す大陪審への召喚状が届いたと明らかにした。召喚状の根拠としている建物改修や議会証言というのは「口実」であり、「大統領の意向ではなく、公共の利益に関する最善の評価に基づいて金利を設定した結果だ」と述べた。
パウエル氏の発表は、トランプ氏のもう一人の解任の標的、クックFRB理事を巡る米連邦最高裁の口頭弁論を今月控えるというタイミングだった。
FRB議長候補を審査する上院銀行委員会のティリス議員(共和党)は、司法省の「独立性と信頼性」に疑問を投げかけると指摘し、「この法的問題が完全に解決するまで」、後任議長を含め、トランプ氏が指名したFRB要人候補には反対すると述べた。
パウエル氏は、5月で議長の任期が満了するが、その後も理事として2028年1月末の任期満了までFRBにとどまることができる。今回の政権の動きにより、同氏が対抗してFRBにとどまる可能性が高まったとみるアナリストは多い。
トランプ大統領は11日、司法省の措置については何も知らないと述べた。パウエル氏については「確かにFRBでうまくやっていないし、ビルを建てるのも苦手だ」と語った。
司法省報道官は、召喚状送付についてコメントを控えた上で「司法長官は連邦検事に対し、税金の乱用を優先して捜査するよう指示している」と述べた。
FRBの歴史に詳しいペンシルベニア大学のピーター・コンティ・ブラウン氏は「(パウエル議長への捜査は)トランプ政権における最低の瞬間で、米中央銀行の歴史において最悪の瞬間だ」と指摘。「議会はFRBが大統領の日々の変動を反映するように設計したわけではない。FRBを倒そうとするトランプ氏の試みをFRBが拒否したため、大統領はFRB議長に対して米刑法上の最大の圧力をかけている」と述べた。
トランプ氏が大統領に返り咲いて以来、同氏とFRBのつばぜり合いを警戒しつつ見守ってきた金融市場にも不安が広がり、米株価指数が下落しドルが売られた。
「FRBを足元から蹴落とそうとする政権の取り組みが劇的にエスカレートしたことを意味する」とコーペイ(トロント)のチーフマーケットストラテジスト、カール・シャモッタ氏は述べた。ただトランプ氏の意図と異なる予期せぬ一連の結果を招く可能性があるとも指摘。「あちこちにガソリンをまいて火遊びするのは、往々にしてうまくいかない」と述べた。
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