- 2026/01/15 掲載
アングル:サプライズ解散が促す円安、期待インフレ上昇 長期金利2.4%に現実味
(一部の表記を修正しました)
Mariko Sakaguchi
[東京 15日 ロイター] - 衆院解散・総選挙の思惑で円安が進行する中、円債市場でもじわじわと金利が上昇している。高市トレードを背景とする円安で、日銀の金融政策が後手に回るビハインド・ザ・カーブへの警戒感があるほか、市場の一部では利上げ時期の前倒しも徐々に意識されてきている。長期金利は99年以来の高水準となる2.4%台に向けた上昇が現実味を帯びてきている。
<長期金利の上昇止まらず>
25年12月初旬から再び動意づいた新発10年債利回りの上昇が止まらない。12月月間の上昇幅は5月以来となる26ベーシスポイント(bp)となり、26年1月14日には一時2.185%と1999年以来の高水準を更新した。新発債は5年、20年、30年、40年債と複数の年限で利回りがいずれも過去最高水準を更新、金利上昇圧力に広がりがみられる。
衆院解散・総選挙を巡る思惑が拍車をかけた。「(年初の)タイミングで解散するとの見方はなかったことから、市場ではサプライズと受け止められた」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の債券ストラテジスト、藤原和也氏)という。財政拡張懸念がぶり返し、超長期ゾーン主導で金利が上昇した。
需給要因もイールドカーブのベア・スティープ圧力となった。同時期に日経平均株価が急伸したことで、株の益出しに伴って低利回りの超長期ゾーンのオフ・ザ・ラン(既発債)を売るという合わせ切りの動きもあったとみられている。
解散の思惑で円安が進行したことで、ビハインド・ザ・カーブへの警戒感も強まり、国内投資家の手控えムードが広がっている。
<最高水準の期待インフレ率>
ロンドン証券取引所グループ・LSEGのデータによると、期待インフレ率を示す指標の10年債ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、14日時点で1.86%付近と、ヒストリカルデータが確認できる2014年以降で最高の水準を付けた。
「衆議院が解散・総選挙となれば、与党が大差を付けて勝利し、(結果として)インフレを促進するような政策が出てくるのではないかとの思惑や、円安が進行したことが期待インフレの上昇につながっている」と三菱モルガンの藤原氏はみる。
期待インフレが上昇すれば、ビハインド・ザ・カーブへの警戒感を高めやすい。また円安に歯止めがかからなければ輸入物価が跳ね上がるリスクがあり、「日銀による次の利上げまでの時期が短縮される可能性がある」(SMBC日興証券の金利・為替ストラテジスト、丸山凜途氏)との見方も浮上している。
<求められるリスクプレミアム>
足元のオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)の2年先1カ月フォワード金利は1.6%後半付近で推移しており、解散観測がでる前から大きな変化はみられない。利上げ時期が前倒しされるとの見方も現状では限定的だ。
一方、市場では日本の政治や財政政策への不透明感も加わって「現状の利上げ予想よりもさらに1―2回の利上げ分を足したリスクプレミアムが投資家に求められている状態だ」とニッセイ基礎研究所の金融調査室長、福本勇樹氏はみる。
ドル/円は一時159円45銭まで上昇した後、政府要人の口先介入もあり、いったんは円安が一服している。ただ、市場では「付け焼き刃」との見方も根強く、円安是正のため、日銀が利上げペースを速めることへの思惑がくすぶる。
ある国内銀行の運用担当者は「インフレの上昇ペースと同レベルに政策金利が引き上げられなければ、実質金利はマイナスのままで、円安が続きかねない」とみる。
日銀が政策金利を最低でも1.5%まで引き上げ、その後も利上げを緩やかに継続していくと想定すると「10年債利回りが2.5%付近まで上昇しないと買いづらい状況だ」(前出の国内銀の運用担当者)という。
10年債利回りの次の節目は1999年の運用部ショック時につけた2.44%とされ、そこまで大きな節目はない。ニッセイ基礎研の福本氏は「円安が一段と進めば、市場からはもう一回分の利上げのリスクプレミアムが求められる。10年債利回りは2.45%付近が見えてくる可能性がある」との見方を示している。
(坂口茉莉子 編集:平田紀之 石田仁志)
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