- 2026/02/18 掲載
NY市場サマリー(17日)ドルやや上昇、利回りまちまち 株小幅高
<為替> ドルが主要通貨に対してやや上昇した。米国とイランが2回目の核協議を実施する中でも地政学的緊張が意識され、市場ではリスク回避の姿勢が見られている。
米連邦準備理事会(FRB)が18日に公表する1月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨のほか、週後半に予定されている主要な経済指標の発表を控え、ポジション調整の動きが出ていることもドル相場に影響した。
円は序盤の取引で下落したものの、その後はやや持ち直した。終盤の取引で円は対ドルで0.17%高の153.27円。
円に対しては、今月8日投開票の衆議院選挙で高市早苗首相が率いる自民党が歴史的な勝利を収めた後の勢いが続いており、日本の株市場への資金流入が円の下支えになるとの見方が出ている。
米国とイランはこの日、スイス・ジュネーブで核問題を巡る間接協議を実施。協議終了後、イランのアラグチ外相は米国と主要な「指針となる原則」について理解に達したと述べた。近く合意が得られるわけではないとしながらも、「さまざまな案が提示され、真剣に議論された。その結果、いくつかの指針となる原則について大枠で合意できた。今後はこれらの原則に基づき、潜在的な合意文書の本文作成に入る」と言及。「新たな機会の窓」が開かれたと述べ、協議がイランの正当な権利の完全な承認を確保する「持続可能な」解決につながることに期待を示した。
ただ、こうした中でも米軍はトランプ大統領が攻撃を命じた場合にイランに対して数週間にわたる持続的な作戦を行う可能性に備えている。
マネーコープ(ニュージャージー州)のトレーディング・ストラクチャード商品部門トップ、ユージーン・エプスタイン氏は、地政学的な不透明感が高い状況下では米国債に資金が流入する一方で、株式に売りが出る傾向があるため、ドルが底堅く推移する展開になりやすいと指摘。「旧来のリスクオフのパターンが戻っている」とし、「米国とイランの衝突の可能性はまだ払しょくされていないため、『ドル買い、米国債買い、株式売り』という伝統的な流れが出ている」と述べた。
終盤の取引で主要6通貨に対するドル指数は0.05%高の97.15。
<債券> 利回りが取引序盤で数カ月ぶりの低水準を付けた。ただ、終盤にかけて2年債利回りが上昇に転じる中、10年債利回りは低下を維持し、まちまちの動きとなった。
この日の米債利回りは、英失業率がパンデミック期を除けば2015年以来、約10年ぶりの高水準となったことや、ドイツの景気期待指数が前月から低下し、市場予想を下回ったことなどを材料に、取引序盤で低下したものの、市場の焦点が米経済の見通しに再び移る中、再び上向いた。
先週発表の米経済指標で、1月の雇用者数が1年超ぶりの大幅増となったことや、1月のインフレ率の伸びが鈍化したことが示されたことを受け、市場ではFRBが今後数カ月間金利を据え置くとの見方が高まっている。
一方、1月の雇用統計で25年通年の非農業部門雇用者数が大幅に下方修正されたことを背景に、年内後半に利下げが実施されるとの見方も維持している。
FHNファイナンシャル(シカゴ)のマクロストラテジスト、ウィル・コンペルノール氏は「全体的に、債券市場は(このまちまちのデータを)FRBが金融緩和を急いでいないが、年半ばには利下げに踏み切る兆候だと受け止めていると思う」と指摘。中立金利が3%とみられる中、市場はFRBがその水準にいつ到達するかに注目していると述べた。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、FRBが年内に計60ベーシスポイント(bp)の利下げを行うとの見方を織り込んでいる。
シカゴ地区連銀のグールスビー総裁は、インフレ率がFRBの目標である2%まで低下すれば、年内に「さらに数回」の利下げを承認する可能性があると述べた。
2年債利回りは2.7bp上昇の3.437%。取引序盤で一時、昨年10月17日以来の低水準となる3.385%を付けた。
一方、10年債利回りは0.4bp低下の4.052%。取引序盤で4.018%と、昨年11月28日以来の低水準を付けた。
2年債と10年債の利回り格差は約2.5bp縮小し、61bp。
<株式> 序盤の下げから持ち直し、小幅高で取引を終えた。ハイテク株が一時の安値から反発したほか、金融株が相場を支えた。
S&P総合500種情報技術指数は一時1.5%安まで下げたが、エヌビディアやアップルの上昇がマイクロソフトやオラクルの下げを相殺し、0.5%高で取引を終えた。
人工知能(AI)がビジネスモデルを揺るがすのではないかとの懸念から、先週はソフトウエア関連や証券、運輸株などに売りが広がり、主要株価3指数はいずれも週間で昨年11月半ば以来の下落率を記録した。
インガルス・アンド・スナイダーのシニア・ポートフォリオ・ストラテジスト、ティム・グリスキー氏は「投資家が資金をどこに回すかについてはさまざまなトレンドが見られる」とし、「市場は非常に短期的な動きを見せており、AIトレードが好まれる局面が再び来る」との見方を示した。
中国AI企業による潜在的なリスクは不確実性を高めた。中国の電子商取引(EC)大手アリババグループは16日、複雑なタスクを自律的に実行できる新型人工知能(AI)モデル「Qwen(通義千問)3.5」を発表した。
ハイテク株は安値から持ち直したものの、ソフトウエア株への圧力は続き、S&P500ソフトウエア指数は1.6%安。インテュイットとケイデンス・デザインがともに5%超下落した。
金融株は好調で、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど銀行株の上昇を受け、ダウ工業株30種は序盤の0.7%安からプラス圏に浮上した。
一方、主要消費財は1.5%下落。食品大手ゼネラル・ミルズが年間のコア売上高と利益の見通しを引き下げたことを嫌気し、7%安となった。
ノルウェージャン・クルーズラインは12.1%上昇。アクティビスト(物言う株主)のエリオットが10%超の株式保有を明らかにした。
決済サービスのファイサーブも6.9%高。アクティビストのジャナ・パートナーズが株式を取得したと伝わった。
医療機器のマシモは34.2%急伸。ダナハーが負債を含めて99億ドルで買収すると発表した。ダナハーは2.9%安。
<金先物> 米イラン間の緊張緩和を背景に売られ、反落した。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前週末比140.40ドル(2.78%)安の1オンス=4905.90ドル。
米国とイランは17日、スイスのジュネーブで、イランの核開発問題を巡る高官協議を開いた。ウラン濃縮活動停止を強く訴える米国に対し、イランは経済制裁の解除を要求。イランのアラグチ外相は協議後、主要原則に関して一致点を見いだすことができたと述べた。協議で一定の進展があったことが明らかとなり、両国の対立が緩和するとの期待が高まったことから、これまで安全資産として買われてきた金に利益確定の売りが広がった。相場は一時4850ドル近辺まで値を消した。
<米原油先物> 米国とイランの交渉進展の報を受け、地政学的リスクへの警戒感が弱まり、反落した。米国産標準油種WTIの中心限月3月物の清算値(終値に相当)は前週末比0.56ドル(0.89%)安の1バレル=62.33ドル。今月2日以来、約2週間ぶりの安値となった。4月物は0.49ドル安の62.26ドルだった。
米イランの2国間、および米国とロシア、ウクライナの3者協議の開催を控え、朝方にかけて買いが先行。それぞれの交渉が不調に終わり、供給リスクが増大する可能性を警戒し、相場は一時64ドル台で取引された。
しかし17日朝方、米国との協議を終えたイランのアラグチ外相が「主要原則に関して一致点を見いだすことができた」と述べ、一定の進展があったことを明かしたと伝わると、一転して売りが活発化。相場はマイナス圏に沈んだ。
ただ、米国はウラン濃縮活動停止を強く訴えて中東海域へ空母打撃群を展開させており、イランも要衝ホルムズ海峡で軍事演習を開始するなど、互いに威圧姿勢を維持。トランプ米大統領は交渉期限を今後1カ月程度とする考えを示しており、取引終盤はやや買い戻しが入った。このほか、17、18両日にウクライナ和平を巡る協議が予定されており、様子見ムードも強かった。
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