• 2026/04/08 掲載

エチレン設備、停止回避綱渡り=調達多様化、価格転嫁で対応―大手化学

時事通信社

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大手総合化学メーカー各社が、中東危機を受け、日常生活に欠かせないプラスチックや合成繊維の原料となるエチレンの生産設備の停止回避へ綱渡りの対応を続けている。生産設備は一度停止すると再稼働に1カ月強かかるとされ、各社は減産で対応。原料のナフサの調達先を中東以外に多様化するとともに、コスト増分の価格転嫁で稼働継続に必要な採算の確保に必死だ。

「(生産設備の)稼働を止めざるを得ない状況になるのが一番の課題。4月はぎりぎりいけると思っているが、大型連休明けまでつなげられるよう、各社懸命に頑張っている」。3月24日の記者会見で石油化学工業協会の工藤幸四郎会長(旭化成社長)は危機感をあらわにした。

エチレンの原料のナフサは危機前には大部分を中東に依存していた。化学大手は調達多様化を急ぎ、三井化学が米国産とアフリカ産の調達にめどを付けたほか、三菱ケミカルは具体的な地域は明らかにしていないが中東産以外のナフサの購入をスポット契約で進めている。

政府は3月末、4月の中東以外からの調達量は通常の倍に当たる90万キロリットルとなる見通しだと説明。「在庫期間は半年以上に伸びる」(高市早苗首相)と強調する。だが、業界関係者は「延命措置にすぎない」と長期的な調達が課題と指摘。別の関係者も「民間が走り回って調達している」と警戒心を解かない。

現在、国内のエチレン生産設備は12基あり、少なくとも6基で減産を続けている。ただ、国内の設備の稼働率は中国の過剰生産の影響で危機前から低迷し、2月は75.7%。設備の安定的な操業に必要な最低稼働率は1基当たり60~70%とされ、稼働率の引き下げには限界がある。

各社は企業の枠を超えた設備の統廃合で、2030年ごろには国内8基体制を構築し1基当たりの稼働率を向上させる方針だったが、再編が進む前に構造的な弱点が浮き彫りとなった。

一方、中東以外のナフサの価格は「想定よりも相当高い」(工藤会長)状況で、コスト上昇への対応も課題。三菱ケミカルや旭化成などエチレン生産設備を持つメーカーから、合成繊維や塩化ビニール樹脂といった「川中」製品を扱う東レや信越化学工業まで相次ぎ値上げを打ち出している。

第一ライフ資産運用経済研究所の永浜利広首席エコノミストは「最悪の事態を想定すれば、計画的に経済を抑制せざるを得なくなる可能性がある」と指摘。化学品の原料を石油から植物由来のエタノールに転換するなど「企業は設備投資を行って国内の供給力強化に動くべきだ」との考えを示した。

【時事通信社】 〔写真説明〕鹿島臨海工業地帯に位置し、エチレンなどを生産する三菱ケミカルの茨城事業所=2025年12月、茨城県神栖市

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