- 2026/04/13 掲載
アングル:日銀4月利上げシナリオ複雑に、市場との対話も難題 中東情勢長期化で
Leika Kihara
[東京 13日 ロイター] - 市場が一時7割強まで織り込んだ日銀の4月利上げシナリオが不透明感を増している。米国とイランの和平交渉が物別れに終わり、混乱状態の長期化が濃厚になる中、金融市場は引き続き乱高下することが予想され、日本経済の先行きも見通しにくくなっているためだ。判断材料が複雑化する一方、月末の金融政策決定会合までに執行部の情報発信の場は限られており、日銀は市場との対話にも苦慮しそうだ。
事情を知る関係者によると、日銀内ではインフレリスクを重視する立場と、紛争の行方を見極めたいとする慎重論の間で意見が分かれている。「中東情勢をめぐる不確実性が非常に高く、物価の上振れリスクと景気の下振れリスクをどう天秤にかけるか難しい」との声が出ている。
4月27―28日の決定会合は、米国とイランの間で合意された停戦期限の1週間後に当たる。両国が11日にパキスタンで開いた和平交渉は合意に至らず、週明け13日の金融市場は朝から円安が進み、原油相場は上昇している。しかし両国の交渉は完全に打ち切られたわけではなく、先行きが読みにくく、日銀が金融政策を判断する上での材料は錯綜している。
東短がまとめている市場の4月利上げ確率は10日時点でも57%だった。しかし、混乱が想定以上に長引けば経済に深刻な悪影響が及ぶ可能性を踏まえ、4月利上げの可能性は後退したとの声が日銀内にはある。
一方、利上げを見送れば、円安が輸入物価を押し上げ、インフレ圧力を強める恐れがある。為替市場の状況次第では、政府が4月利上げを容認する可能性もある。赤沢亮正経済産業相は12日、NHKの番組で、イラン情勢悪化に伴う物価高騰対策として、円高につながり得る日銀の金融政策は「一つの選択肢としてあり得ると思う」と述べた。
政策金利が0.75%と、米欧中銀に比べ依然低水準にとどまっている点も、利上げを後押しする材料だ。インフレ率が約2%で推移する中、実質金利はなお大幅なマイナス圏にある。
こうした状況は、4月会合がぎりぎりまで政策を判断できない「ライブ」になりうることを示唆している。紛争の先行き不透明な現状を踏まえると、日銀は利上げ判断について事前に明確なヒントを出しにくい状況に置かれる可能性がある。
しかも執行部が公の場で発言する機会はこの先多くなく、13日の信託大会で植田和男総裁の発言を氷見野副総裁が代読する。15日からは米ワシントンで開かれる主要7カ国(G7)と主要20カ国・地域(G20)に植田総裁が出席する。
「日銀から追加のヒントが出なければ、市場は4月の利上げ観測を後退させ始めるだろう。その場合、実際に利上げに踏み切れば市場を驚かせ、債券利回りを押し上げる可能性がある」と、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ債券ストラテジスト、六車治美氏は話す。「金利を据え置いた場合も、日銀がインフレ対応で後手に回っているとの懸念から利回りが上昇し、円安が進む恐れがある。つまり、どちらに転んでも市場にとって好ましい結果にはならない」
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