- 2026/04/15 掲載
アングル:ユナイテッド航空のアメリカン合併案、反トラスト法懸念で懐疑論
[14日 ロイター] - ユナイテッド航空とアメリカン航空の合併が実現すれば航空業界の巨大企業が誕生することになり、運賃の上昇や競争の衰えを警戒する規制当局、労働組合、消費者団体から異例の厳しい監視を受けるだろう。
事情に詳しい関係者2人によると、ユナイテッドのスコット・カービー最高経営責任者(CEO)は2月下旬、トランプ米大統領に対して両社の合併の可能性について持ちかけたという。しかし、業界関係者はすぐさま、このような取引が直面するとみられる強力な反トラスト法(独占禁止法)上の障害を指摘した。
カービー氏の提案の詳細はまだ明らかになっていない。ユナイテッドは合併の可能性を巡る独占禁止法上の影響についてコメントを控えた。
業界の専門家たちはこのような取引が成立する可能性について即座に疑問を投げかけた。ジョージ・ワシントン大学競争法センターのウィリアム・コバシック所長は「これは絶望的に思える。多くの路線や(シカゴのような)様々な都市圏で膨大な重複が存在する。いくら路線を譲渡しても是正できないだろう」と述べた。
2025年の運航スケジュールに基づくと、合併後の航空会社は米国内の輸送能力の約40%を占め、独占禁止法上の課題の大きさを裏付けている。
TDコーウェンのアナリスト、トム・フィッツジェラルド氏によると、合併後の航空会社は路線を譲渡する前でも圧倒的な優位に立ち、全米159カ所の空港で国内便の輸送能力の少なくとも半分を支配することになるという。
一部の投資家はこの合併の波及的な効果が業界を再編する可能性があると話している。匿名を条件に語ったジェットブルー航空のある投資家は、もしもこのような合併が承認されれば、ジェットブルーは買い手を探す以外に選択肢がほとんど残されていないだろうと語った。
「ユナイテッドはトランプ流の交渉をしている。大きな要求から始めてから少し譲歩する。もしもアメリカンがだめなら、ジェットブルーでイエスとなるだろう」とその投資家は付け加えた。ジェットブルーはコメントの要請に応じなかった。
<立ちはだかる規制の壁>
大型の企業合併に対する厳しい姿勢を反映して、各州や競合他社、消費者団体からも厳しい監視の目が向けられる可能性があるだろう。バイデン政権は格安航空会社(LCC)という競争上の選択肢を失わせるとして、ジェットブルーのスピリット航空買収を阻止した。
議会からも業界の寡占化に対する懸念の声が上がっている。上院独占禁止小委員会の委員長を務めるマイク・リー議員は航空業界の競争に関する公聴会を開催し、批判的な立場の人々が業界の寡占化によって価格競争が衰えていると訴えた。
これに対し業界団体のエアラインズ・フォー・アメリカは2019年から24年の間に消費者物価指数(CPI)が23%上昇した一方で航空運賃が1.5%下落したというデータを引用し、過去の合併がコストを引き下げて乗り継ぎの利便性を向上させたと反論した。
しかし、消費者団体は寡占化が旅行者の利益を損なうと考えている。アメリカ経済自由プロジェクトの研究員のウィリアム・マギー氏は公聴会で「アメリカン、デルタ、ユナイテッドの各社は価格競争を止めている」と述べた。
ユナイテッドにとって、この規模の合併が実現すれば、収益性やプレミアム収入で業界首位の座に長い間君臨してきたライバルのデルタ航空を突き放して圧倒的な差をつけるために必要な輸送能力と市場シェアの飛躍的な変化をもたらす可能性がある。
DMBロー・グループの独占禁止法弁護士のアンドレ・バーロウ氏は「ユナイテッドとアメリカンの合併が実現すれば航空業界の『ビッグ4』は支配的な企業1社を抱える『ビッグ3』に縮小する。多くの都市間路線やハブ空港で競争上の問題が生じる可能性が高いだろう」と語った。
バーロウ氏は「この取引が成立するかどうか疑わしい。トランプ政権は手ごろな価格の問題を懸念しており、この合併が成立すれば選択肢が減り航空会社にさらなる価格決定力を与えることになる」と付け加えた。
<燃料コストが株価の重しに>
この合併提案は、米国とイスラエルがイランを攻撃したために航空各社が燃料費の上昇に直面している状況で浮上した。株価は2月下旬以降、アメリカンが14.1%、ユナイテッドが10.4%それぞれ下落している。
航空各社は高止まりする燃料価格が利益率を圧迫し、輸送能力の拡大を抑制し、経営基盤の弱い航空会社に対する圧力が強まる可能性があると警告している。
ユナイテッドのカービーCEOは2月25日、ホワイトハウスで会談した際にこの提案を持ち出し、合併した航空会社ならば海外の航空会社に対して国際的な競争力をより高められると主張した。
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