- 2026/04/15 掲載
焦点:米株がイラン攻撃前の水準回復、短期終結への期待変わらず
[ニューヨーク 14日 ロイター] - 米国株が6週間前の米・イスラエルによるイラン攻撃開始時をやや上回る水準まで値を戻している。紛争が長期化しないとの見方が背景にあると投資家らは言う。しかし、そうした想定が間違っていた場合、どうなるのだろうか。
S&P総合500種は、イラン攻撃が始まる直前の2月27日とほぼ同じ水準に復帰したが、この間外部環境は急激に変化している。原油価格は約40%上昇、インフレ懸念から米国債指標利回りは跳ね上がり、市場が見込む米連邦準備理事会(FRB)の年内利下げ確率は極めて小さくなった。
これらは全て、長続きするようなら株価の足を引っ張る恐れがある要素と言える。
ところがハートル・キャラガンのブラッド・コンガー最高投資責任者は「事態はあっという間に収束すると高をくくった見方がまん延している。株式市場に織り込まれているのは(早期解決の)出口があるという展開だ。2月27日に比べて情勢は大きく悪化していると思う。そして株価は同じ水準にある」と指摘した。
投資家がよりどころとしているのは堅調な経済状況、とりわけ力強い企業収益見通しで、イラン攻撃が始まって以降、この見通しは改善している。3年にわたる強気相場で示された株式市場の強じん性や、買いのチャンスを逃すのではないかとの恐怖心も投資家の念頭にある。
<局面転換を否定>
イラン攻撃開始から数週間はS&P総合500種の下げが続き、3月終盤には1月下旬の直近高値からの下落率が8%と、正式な調整局面入りを意味する10%安が目前となった。
先週米国とイランが2週間の停戦に合意したと表明して以来、紛争解決への楽観ムードが強まったが、依然として先行き不透明感は大きい。
それでもチェース・インベストメント・カウンセル・コープのピーター・タズ社長によると、市場はかなり短期間に克服できる一過性のリスクだとみなしており、物価上振れやエネルギー高、金利上昇という新しい枠組みの局面が始まりつつあるとは考えていない。そうした局面への本格的転換だと認識しているなら、足元ほど地合いが強くなると信じる理由は乏しいという。
<原油先物が示唆する展開>
株価を主に左右しているのは原油価格の動向だ。持続的な原油価格上昇は、ガソリン支出負担や事業コストの増大という形で消費者と企業に重圧を与える。
ただエドワード・ジョーンズのシニア・グローバル投資ストラテジスト、アンジェロ・クーカファス氏は、原油先物価格が年末にかけてより安くなっている点からも、紛争は短期で片付くとの投資家の想定が読み取れると述べた。LSEGのデータに基づくと、原油先物期近限月は1バレル=92ドル前後だが、12月渡しは76ドルとなっている。
クーカファス氏は「市場はエネルギー供給を巡る混乱が短期的だと見ている。いったんそれを通過すれば、以前のような圧倒的な底堅い経済に回帰するという見方だ」と語った。
一方で原油高は既に米国の物価情勢に影響を与えており、インフレ懸念を背景として、米株を楽観する根拠の1つだったFRBの利下げ期待はすっかり後退している。14日時点のLSEGのデータでは、金利先物が12月までに織り込む利下げ幅は10ベーシスポイント(bp)と、通常の1回分(25bp)よりも小さい。イラン攻撃開始前は、年内に約2回の25bp利下げが見込まれていた。
インフレ懸念の高まりにつれて、2月27日時点で3.96%だった米10年国債利回りも足元は4.25%近辺まで上昇した。
こうした利回り上昇は、企業や消費者の借り入れコスト増大という面で、株価には逆風となりかねない。
<企業収益見通しが支え>
イラン攻撃開始以降、株価にとってプラス要因として働いてきたのは、米企業収益がさらに強固になるとの見通しだ。LSEGのIBESによると、イラン攻撃が始まった時点で15%だった今年のS&P総合500種企業の増益率予想は、現在19%まで切り上がっている。
そうした見通し改善が、米国株の投資妙味を高めているのは間違いない。LSEGデータストリームでは、12カ月利益予想に基づくS&P総合500種企業の株価収益率(PER)は13日段階で20.4倍と、昨年10月終盤の23倍超から低下した。
コモンウェルス・ファイナンシャル・ネットワークのチーフ市場ストラテジスト、クリス・ファシアーノ氏は「原油高と、それが示唆するインフレにもかかわらず(企業収益の)予想は上向き続けている。より魅力的なバリュエーションと収益予想の上振れによってわれわれは投資環境について安心感を得ている」と説明した。
もっとも現在の第1・四半期決算発表シーズンを通じて、こうした予想が本物かどうか試されるだろう。
タズ氏は「市場参加者は米企業に対して今年全体として目を見張るような業績を期待している。それが正しいのか、間違っているのか判断するのはまだ早い」とくぎを刺した。
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