- 2020/12/03 掲載
インフレ期待が1年半ぶり高水準、景気刺激策の思惑で=米債券
5年、10年、30年のBEIは1日終盤、いずれも2019年5月以来の高水準を付け、2日もさらに上昇。直近でそれぞれ1.773%、1.865%、1.988%となっている。
インフレ期待に敏感な米30年債利回りは、約4カ月ぶりの水準に上昇。米連邦準備理事会(FRB)が2%を上回るインフレ率を一時的に容認する方針を示した8月以降では約50ベーシスポイント(bp)上昇している。
債券利回りが過度に急速に上昇すれば、FRBは利回り抑制に向けた措置を講じる可能性がある。アナリストの間では、償還期間が長めの債券に購入を傾斜させる可能性があるとの見方も出ている。
TD証券の金利アナリスト、ゲナディ・ゴールドバーグ氏は、債券利回りが急上昇した場合、FRBが12月にも買い入れ債券の加重平均年限を長くする可能性があると指摘した。
市場のインフレ期待や長期債利回りが上昇する中、物価上昇の持続可能性を巡る議論が再び高まっている。ナットアライアンスの国際フィクストインカム責任者アンドリュー・ブレナー氏は「インフレはやって来るだろう。インフレは問題になり、FRBは対応を迫られると思う」と述べた。
一方、物価上昇の持続に懐疑的な見方もある。バークレイズのグローバル・インフレ連動調査責任者マイケル・ポンド氏は「財政による景気刺激の可能性はポジティブなニュースだ。ただ、インフレ率上昇につながるとは思わない」とコメント。米投資家は過去に何度も、FRBの量的緩和や関税、インフラ投資、減税などでインフレが再び加速すると確信していたとした上で、「世界的にインフレを抑制する構造的な力が働いており、景気が好調な局面でもインフレが低く抑えられてきた」と語った。
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