- 2020/12/05 掲載
海のミルク、カキが食べ頃=コロナ禍で家庭消費に期待
「海のミルク」と呼ばれるカキが旬を迎え、産地の水揚げが本格化している。新型コロナウイルスの影響により飲食店の仕入れは低調だが、家庭での巣ごもり需要を期待し、生産・流通関係者は懸命に消費をPRしている。
フライや鍋の具材となるカキだが、消費量は年々低下している。総務省のまとめによると、2019年の全国1世帯(2人以上)当たりのカキの購入量は約420グラムで、10年前に比べて3割以上減少。20年ほど前からは半分以下に落ち込んでいる。
消費の低迷は、家庭で調理する機会が減っているためだが、「今シーズンはコロナ禍で外食が減っている分、家でたくさんカキを食べてもらえるのでは」と鮮魚専門店のバイヤーは話す。
サンマやサケなど、旬の魚の不漁が目立つこともあり「カキに期待する鮮魚店は多く、各社売り込みを強化している」(鮮魚専門店)。飲食店での消費が少ない分「より質の良いカキをスーパーで販売する傾向があり、むき身のほか殻付きを並べる店も増えている」と、一般社団法人「牡蠣の会」(東京)の泉祥子代表は話す。
各地からカキが入荷する東京・豊洲市場(江東区)では「今年、広島県を中心に生産は順調で身質も良く、卸値は安め」と卸会社の中央魚類。今秋から大ぶりで衣が薄い冷凍カキフライを販売。揚げて食べるタイプで、売れ行きは好調。今年9月に発売を開始し、全国の量販店に販路を広げている。
産地では兵庫県赤穂市の水産卸会社、船曳商店がネットなどでカキを大量に販売。赤穂浪士にちなんでブランド化した「サムライオイスター」は、「ぷりっとして加熱しても身の縮みや臭みが少ない」と同社。リピーターも多く、今年10月以降、一般向け通販の売れ行きは昨年の3倍以上という。
同社の船曳晶子営業広報部長は「これから来年3月にかけてカキはますますおいしくなる。フライや鍋、生食など、いろいろな食べ方で旬の味を楽しんでもらいたい」とアピールしている。
【時事通信社】 〔写真説明〕兵庫県産カキをPRする船曳商店の船曳晶子営業広報部長=11月23日午後、兵庫県赤穂市(船曳商店提供) 〔写真説明〕豊洲市場の卸会社、中央魚類が販売する大ぶりで衣が薄いカキフライ=1日、東京都江東区
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