- 2020/12/26 掲載
ETF購入手法見直しへ=コロナ禍見極め―来年の日銀金融政策
日銀は、2021年も新型コロナウイルスの影響を見極めながらの金融政策運営を迫られそうだ。今年秋以降の感染再拡大で、大規模緩和のさらなる長期化は必至の情勢。緩和効果の維持・向上には政策の修正が大きな課題となる。上場投資信託(ETF)の購入でめりはりをつけるなど見直しを検討する。
「より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検を行う」。黒田東彦日銀総裁は24日、東京都内の講演で、来年3月をめどに現在の緩和策を点検し、2%の物価目標実現に向け必要な見直しを実施する考えを表明した。
中央銀行が株式関連資産を購入するのは異例。日銀の11月末時点のETF保有額は時価ベースで45兆円程度に拡大し、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を抜いて最大の日本株投資家になったとみられる。
ETF購入について、日銀内では「必要なタイミングで買い入れが困難にならないよう、政策の持続力を高める工夫の余地を探るべきだ」との声が強まっている。株価指数の上昇基調時には買い入れを一段と抑制するなどの修正が行われる可能性がある。
企業金融面にも見直す余地がありそうだ。コロナ対策として今年春に導入した企業の資金繰り支援策は来年9月末まで延長した。ただ、将来にわたる成長力の底上げには企業の経営基盤強化が欠かせない。生産性向上を後押しするような支援策も重要となってくる。
来年は金融政策を決める政策委員9人のうち、桜井真審議委員ら2人が任期満了を迎える。安倍晋三前政権では、積極緩和を唱える「リフレ派」が重用されてきた。菅義偉首相は前政権の継承を唱えるが、後任次第では金融政策運営に影響が及ぶ可能性もありそうだ。
【時事通信社】
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