- 2021/03/18 掲載
FRB議長、内外経済の格差懸念せず 「米が世界を主導」
むしろ米経済の力強い回復が、足場を見いだすのに依然苦慮している欧州などの経済活性化に寄与する可能性のほうが、海外の弱い成長によって米国の回復が妨げられるリスクより大きいとみている。
議長は米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で「経済が改善するに伴い、非常に強い米国の需要がいずれ世界の活動も支援する」とし、「米経済が強ければ、その強さは世界の活動も支援する傾向がある」と述べた。
議長のこのコメントは、特に米欧間でここ数週間に経済見通しの相違が顕著になっていることを巡る質問に答えたもの。米国では新型コロナウイルスワクチンの接種が順調に進み、過去数カ月間に総額3兆ドル近くの経済対策が成立した。一方、欧州ではワクチン接種が遅れ、何カ月も前に合意された復興基金も宙に浮いた状態だ。
FRBは17日に公表した最新の経済見通しで、今年の経済成長率は6.5%に達すると予想。昨年12月公表の前回見通し(4.2%)から2.3%ポイント上方修正し、1980年代以来の高い成長を予想した。
一方、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は先週、ユーロ圏経済が第1・四半期もマイナス成長に陥るとの見方を示した。ECBのスタッフ予想では2021年の経済成長率見通しを4%としている。
パウエル議長は「短期的には懸念していない。欧州の成長が加速し、ワクチン接種がより円滑に進めば好ましいが、米国について短期的にはさほど懸念していない。われわれは非常に良好な軌道にあり、非常に強力な財政出動が実施されるためだ。ワクチン接種は現在速いペースで進んでおり、感染者数も減少している」と述べ、「米国は良い状況にある」との認識を示した。
成長見通しの格差は米欧間だけではない。2月のロイター調査によると、日本も第1・四半期はマイナス成長となり、今年の成長率は3.6%にとどまると予想されている。
パウエル議長は「前回の危機後と同様に、回復具合の相違が見られる」とし、「今回も米国の回復が世界の回復を主導している」と指摘した。
米国の成長が一時的になることや、今年予想される高い成長がその後数年の成長を先食いすることは懸念していないとも述べた。実際、FRBの経済見通しでは22年の成長率予想も前回の3.2%から3.3%にやや上方修正された。
議長は、米経済指標が今後、比較的速いペースで改善し、しばらく強い状況が続くとの見方を示した。
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