- 2021/05/26 掲載
世界的な金利底打ちで債務リスク拡大へ、バークレイズが警告
同調査は毎年1回、経済・金融に関する重要トピックについて分析するもの。今回提示した考えは、何人かの著名エコノミストが借金をしてもたいしたことはないと主張し、各国に新型コロナウイルス対策として積極的な財政出動を求めているのとは正反対で、高水準の債務は危険だという長年の経験則を復活させた形だ。
バークレイズは、2008年の金融危機以降の金利低下が各国の債務負担増大を和らげる役割を果たしたと認めつつ、金利水準は実効ベースで限界まで下がり、金融緩和はメリットより弊害が大きくなる局面に達したので、流れは変わりつつあると指摘した。
さらに「(実効)金利はこれ以上下がらないが、世界の成長はもっと下振れそうだ。これは特に成長率が低く、金利水準が高い新興国経済の返済能力を圧迫するだろう」と付け加えた。
バークレイズの分析手法は、国際通貨基金(IMF)などのエコノミストと異なり、まず公的債務だけでなくその国の経済全体が抱える借金を考慮し、次に自国通貨建てと外貨建て債務を同じだけ重視する。
この分析で貯蓄不足が最も大きい国が債務の持続可能性の点で一番脆弱だと分かり、ブラジルの貯蓄不足規模は国内総生産(GDP)の約8%に上るという。
バークレイズによると、ブラジルの潜在成長率を1%と想定した場合、債務持続性を取り戻すには国民が8年間、新たな消費や投資を控えなければならない。つまり潜在成長率の劇的な変化がない限り、必要な構造調整がもたらす痛みは甚大になる。
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