• 2021/06/01 掲載

コロナ後の金融・財政:日銀緩和策に限界、ソルベンシーで新制度必要=木原・衆院議員

ロイター

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[東京 1日 ロイター] - 自民党の木原誠二衆議院議員はロイターとのインタビューで、日銀の追加緩和策は限られており、経済情勢が厳しくなった際は財政政策の役割の方が大きいとの見方を示した。

将来的に債務返済問題に直面した企業の倒産・廃業が増えれば銀行は信用コストが上昇して収益が圧迫される可能性があり、その点について「何らかの制度が必要になる」との認識も示した。

木原氏は日銀の金融政策について、経済を下支えするという意味ではコロナ前までそれなりに成果が出ており、「やむを得ない合格点」と評価した。ただ、コロナ後の需要が大きく回復するとは見込めず、日銀は引き続き金融政策で経済を下支えする役割を果たさざるを得ないと述べた。2%の物価安定目標も掲げており、その「背中」がみえてくるまでは政策変更は厳しいとみている。

日銀は3月の政策点検を通じ、追加緩和の手段として長短金利の引き下げは重要な選択肢と位置づけたが、木原氏は「大きな副作用を出さずにできる政策の余地は限られている。どちらかというと、経済が厳しくなった時には財政の方が役割が大きい」との認識を示した。

今後、ソルベンシー(支払い能力)問題に直面した企業の倒産・廃業が増えれば、銀行は信用コストが上昇し収益が圧迫される可能性がある。このリスクに対しては「手当が必要」と指摘し、「いずれかのタイミングで何らかの制度が必要になる」との見方を示した。ただ、その議論を始めるには「やや早い」とも述べた。

木原氏は2017─20年まで政務調査会副会長兼事務局長として政府与党の政策立案を担い、今国会で成立した改正銀行法の議論でも中心的役割を担った。「これだけ長期間、金融緩和で低金利状態が続くと、利ザヤで稼げることはほとんどない」と指摘。「銀行法の改正で付随業務や子会社の関連業務などをかなり緩めたが、特に地銀は新しいビジネスモデルをつくってもらうしかない」と述べた。

銀行の財務状況については、自己資本比率は悪化しておらず「にわかに公的資本を入れなければならない感じはしない」という。他方「枠組みみたいなものがあること自体がマーケットに安心感を与える。そういう準備があってもおかしくはない」との見方を示した。

企業の債務再編の枠組みを議論しておく必要があると指摘。「観光、飲食、特に厳しいと思うのは交通系。地方の電車・バスなど、ここは必ず議論になる」と指摘。将来的にどの程度需要が戻るのか、もう少し見極める時間が必要だ」とも語った。

コロナの感染再拡大を受け、与党の一部からは2021年度補正予算編成論が浮上している。木原氏は「業界ごとに(景況感は)まだら模様の状況となっている。(補正予算を編成するかどうかは)今は残っている予備費を適宜適切に使いながら、秋口どうなるかというのが一つの勝負だろう」と述べた。

2025年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)を黒字化させるという政府目標については「にわかに降ろさなくてもいい」とみている。「PB目標があるので財政出動できないという指摘は正しくないし、今年も必要があれば財政は出す。本来の目標は債務残高対GDP比だと思うが、それに向かう過程の『規律』としてPB目標を持っておくべき」と語った。

*インタビューは5月31日に実施しました。

(杉山健太郎、木原麗花、梶本哲史 編集:田中志保)

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