米景気回復「やや加速」、物価圧力増大　モノ・人材不足＝連銀報告

［ワシントン　２日　ロイター］ - 米連邦準備理事会（ＦＲＢ）は２日に公表した地区連銀経済報告（ベージュブック）で、国内経済が４月上旬から５月下旬にかけて緩やかに拡大し、前回の報告時期よりもやや加速したという認識を示した。

報告書では「新型コロナウイルスワクチンの接種率の向上や社会的距離制限の緩和が経済にプラス効果をもたらしている」と評価した。

物価圧力は全般的に増大。サプライチェーン（供給網）の継続的な混乱に伴い、コスト圧力が強まった。販売価格は緩やかに伸び、建設、製造業中心に投入コストも一段と活発に上昇。「調査対象は今後数カ月間、コスト増に直面するとともに、販売価格の引き上げを予想する」。

雇用は比較的安定したペースで増加し、新型コロナウイルスの感染が緩む中、食品サービスや接客、小売などの業種で伸びが目立った。一方、多くの企業が引き続き低賃金の時間給労働者やトラック運転手、技能労働者などの人材確保に苦慮した。

賃金の伸びは全般的に緩やかで、労働者を引き留めるためにボーナス支給を約束したり、初任給を引き上げたりする企業が増加した。

住宅市場については、旺盛な需要が建設業者の生産能力を上回り、一部で販売の制限を引き起こした。

全体的な見通しは前回からおおむね変わらず。調査対象からは経済が引き続き底堅く成長するといった楽観的な見方が聞かれた。

今回の報告は５月２５日までに全１２地区で入手された情報に基づきクリーブランド地区連銀がまとめた。

＜モノ・人材不足広がる＞

シカゴ地区連銀は「食料品店の売り上げが引き続き健全で、消費者は高級肉や高級ワイン、魚介類など高価な商品を買い求めている」と報告。ボストン地区連銀は「労働需要が強まる一方、広範な労働力不足により雇用は抑制された。物価は一部でコスト圧力が高まり、外食価格も大幅に値上がりしたものの、全般的にはおおむね安定して推移した」と述べた。

リッチモンド地区連銀は、働き手が見つからないため外食・接客業が完全な再開に踏み切れず、小売業は出荷や生産の遅れで在庫を制限していると指摘。ミネアポリス地区連銀は「原材料費の高騰」を理由に「建設プロジェクトの大幅な遅れや完全な中止」が発生しているほか、ある木材製品メーカーはフル稼働しているにもかかわらず、需要に追い付いていないと訴えた。

報告書では「高所得者が失われた収入を補うために積極的に職探しをする一方で、低所得者は政府からの給付金を受けている場合、傍観する傾向が強い」とした。