- 2021/07/06 掲載
アングル:日経平均の銘柄入れ替えで思惑、任天堂やキーエンスに先回り買い
日経平均のようなインデックスに採用される銘柄は、インデックス運用するパッシブ投資家からの実需を見込んだ買いが入りやすい。足元の任天堂株についても「日経平均への採用期待が浮上したことで、売りにくさが意識されている」(国内証券)という。
日本経済新聞社は5日、ルール見直しの結果を発表。従来用いていた「みなし額面」を「株価換算係数」に改めることが柱で、10月の定期入れ替えから適用する。新規に採用する銘柄は、採用時に構成比が1%を超えないよう調整するため、株価が高く指数へのインパクトが大きくて採用されなかったような銘柄も今後、採用されやすくなる見込みだ。 採用判断の基準とされる流動性順位を踏まえ、任天堂は採用される可能性が高いとSMBC日興証券は予想している。現在の構成銘柄のうちで流動性順位が著しく低い銘柄はないことから「1増1減」を基本シナリオとしており、任天堂と入れ替わりで除外されるのはスカパーJSATホールディングスとみている。同証券の伊藤桂一チーフクオンツアナリストは、仮に任天堂が採用された場合、パッシブ投資家の買い需要は2000億円程度と試算している。
ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「これまで採用されにくかった値がさ株に門戸が開かれれば、同様の他の銘柄にも思惑が広がるかも知れない」と指摘する。市場では、これまでにも任天堂のほか、村田製作所などへの思惑が浮かんでは消えてきた経緯がある。
新ルールでは、入れ替え上限を3銘柄とする。東証1部の流動性順位で上位450銘柄のセクター分布との比較では、日経平均は消費セクターの銘柄数に不足が目立つ。一方、素材、技術のセクターには過剰感があるとみられている。仮に上限の3銘柄の入れ替えとなれば、ZOZOとオリエンタルランドが新規採用され、日清紡ホールディングスと東洋製缶グループホールディングスが除外される可能性があるという。 もっとも、SMBC日興の伊藤氏は「日経平均の銘柄採用では入れ替えに伴うインパクトも勘案されているようだ」と分析。ZOZOは流動性順位は高いもののインパクトが大きいことから見送られるとすれば、キーエンスが候補になり得るという。余剰感のある技術セクターに属するが、流動性順位が高く「セクター内での市場代表性の観点から、採用の可能性はある」と話している。
一方、みなし額面の株価換算係数への変更は、既存の構成銘柄には影響しない。このため、ファーストリテイリングやソフトバンクグループといった寄与度の大きな銘柄の株価変動に指数が振らされる構図は、あまり変わらないとみられている。
(平田紀之 編集 橋本浩)
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