- 2021/09/02 掲載
中国政府系企業、アントの信用事業合弁に大規模出資へ
10億人を超える利用者を抱えるアントのデータの宝庫としての支配力を弱めるとともに、株式上場の計画を復活させるのが狙い。 中国の規制当局は昨年11月、アントの上場を阻止していた。関係者によると、今回の会社設立と所有形態は、規制当局によるアントへの抜本的な事業再編命令を受けた措置の一つとなる。
アントのIPO計画により、同社と電子商取引大手アリババ・グループの中国での影響力の大きさが浮き彫りになり、創業者で億万長者の馬雲(ジャック・マー)氏の企業帝国に対する規制当局の締め付けが始まった。アントは事業再編を命じられ、アリババは独占禁止法に違反したとして過去最高の27億5000万ドルの罰金を科せられ、馬氏は約3カ月間にわたって公の場から姿を消していた。
関係者の1人によると、アントと浙江省旅游投資集団が個人信用調査会社のそれぞれ35%の株式を保有し、ほかに杭州金融投資集団と浙江電子口岸がそれぞれ5%超の株式を持つ計画だ。唯一の政府系以外の企業は、物流・金融サービス企業の伝化智聯の親会社の伝化集団で、7%出資する。
ロイターが浙江省旅游にコメントを求めたところ、回答はなかった。アントと他の株主は、メールでのコメント要請に応じなかった。中国人民銀行(PBOC)はアントの事業再編を監督しているが、ファックスでのコメント要請に対して直ちに回答しなかった。
新会社設立の計画は、これまで規制が緩やかだった業界に対して、政府がコントロールを強めた成果を示すことになる。新会社は消費者データを集めて分析し、利用者の信用度を評価する。アントのデータ事業運営を統括し、規制面で監視しやすくなるという。
中国で3番目に大きな信用調査会社となる新会社は、早ければ10月の設立を目指している。
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