- 2021/10/05 掲載
ESG格付け・投資に改善余地、OECDがG20に向け報告書
今月のG20会合に先立ち公表された報告書は、国際的な気候目標を達成する上でESG投資は有効だが、「かなりの課題」を克服する必要があると指摘。特にESGの問題を評価する手法が多岐にわたり、データが一貫性に欠け、ESGの格付け手法が比較可能ではない点が課題だとしている。
報告書は「ESGの格付け・投資に関連するこうした相反する動きと課題は、市場の一体性と投資家の信頼を損ね、投資の決断がどこまで環境・気候に影響を及ぼすのかが見えにくくなる恐れがある」と指摘。
「長期的な価値と低炭素経済への移行を支える具体的な進展を実現する上で必要になる資本配分のペースと規模が、こうした課題によって最終的に抑制されかねない」と述べた。
証券監督者国際機構(IOSCO)は7月、ESG分野の格付け・データサービスに関する規制整備に向けた市中協議文書を公表。11月には国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が開催される。
OECDは各国政府に対し、核となるESGの測定方法の質、グローバルな透明性、比較可能性を確保するよう呼び掛けた。
環境格付けについては、格付け会社が環境への悪影響よりも、企業の政策・目標の開示を重視し、政策の効果を検証していないようだと指摘。下位カテゴリーのスコアが多数利用されているケースが多く、そうしたスコアの意味を明確にして、投資家を支援すべきだとしている。
また、排出量実質ゼロに向けた道筋について情報が「不十分」なことや、カーボンプライシングや再生可能エネルギーに関する政策が不明瞭なこと、また投資家が特定の気候目標に沿うポートフォリオを構築するための商品や測定手段が不足していることも、投資を妨げる要因になっていると指摘した。
報告書は「全体としては、今の市場の分断を改善し、投資家の信頼と市場の一体性を強化する方向に、ESGと気候移行関連の慣行を前進させるには、国際協力の拡大が必要だ」としている。
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