- 2021/10/05 掲載
情報BOX:債務上限引き上げ問題、「財政調整措置」の手続き
引き上げの方法を巡る民主、共和両党の協議はこう着。議会少数派の共和党は、上院で財政調整措置(リコンシリエーション)と呼ばれる手続きが使われ、共和党は投票せずに民主党が単独で法案を通すことを望んでいる。民主党のシューマー上院院内総務はこれに抵抗しており、通常の手続きによって法案を通過させたい意向だ。
仮にシューマー氏が折れ、共和党のマコネル上院院内総務の意見が通って財政調整措置に持ち込まれた場合の手続きは以下の通り。
*上院と下院の予算委員会は、同措置を通じた債務上限の引き上げを可能にする法案を策定する必要がある。同措置は複雑で、手続きが厳重に定められている。
*上院予算委員会の22名全員が採決に出席した場合、賛成11対反対11となってサンダース委員長は法案を本会議に送ることができないだろう。
*そこでシューマー氏は上院本会議で、法案を予算委員会から「解放」するための動きに出る可能性がある。最長4時間の審議を経て、上院はサンダース氏に対し、法案を手放して本会議に送るよう指示すべきか否かについて採決を行う。
*上院はその後、最長20時間の審議を始める。しかし「vote-a-rama」と呼ばれる手続きを通じて多数の修正案が出される可能性もある。もっとも修正案は予算に直接関係するものでなければならない。この手続きはしばしば徹夜作業となる。
*修正案の採決後、上院は予算法案の採決を実施し、単純過半数51の賛成票によって可決することができる。
*下院でも審議と採決の手続きを経る必要があり、やはり単純過半数の賛成があれば可決される。
*デフォルトの恐れがある18日が近づく中でこれらの手続きが繰り広げられることで、世界の金融市場は不安定な展開となるかもしれない。民主党議員の中には、こうした手続きをすべて18日までに済ませるのは難しいとの声もあるが、マコネル氏はこれを否定している。
*民主党側はマコネル氏の狙いについて、共和党が法案に一切「指紋」を残さずに全手続きを進め、2022年議会中間選挙で民主党を攻撃しやすくするつもりではないか、と疑っている。
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