- 2025/08/05 掲載
現場が勝手に…ITツール「増やしまくり問題」、ガートナー流の“ド定番”の解決策
ガートナー推奨の「3層アプローチ」
デジタル・ワークプレイスは現在、単一のスイート製品に依存するモノリシックな形態から、多様なSaaSツールを組み合わせた柔軟な環境へと進化している。ガートナーが2023年8月に実施した調査によると、Microsoft 365やGoogle Workspaceなどの基本スイートに加えて別のツールを組み合わせる企業が増加傾向にあり、全体の32%を占める。しかし、このベスト・オブ・ブリード化が意図的でなく「なし崩し的」に進行している企業も少なくない。こうした現状について、「IT部門がオフィシャルには『基本スイートの機能を使ってください』と方針を示す一方で、現場ではそれ以外の便利なツールを独自に導入してしまう状況が生じています。つまり、シャドーITの氾濫が伴うベスト・オブ・ブリード化です」と話すのは、ガートナーのディレクター, アナリストの林 宏典氏だ。

ディレクター, アナリスト
林 宏典氏
林氏によると、SaaSツールの積極活用を進める際、企業が直面する主な障壁は2つあるという。
その1つ目は、ツールの増加に伴うIT部門の負荷増大だ。ガートナーの調査によれば、IT調達・運用の負荷に問題がないと回答した企業はわずか3%に留まる。そして2つ目は、ユーザー部門にベンダーの選定・交渉を任せる場合のセキュリティ、ITガバナンスの確保である。特に懸念されるのは、セキュリティリスク、ITガバナンス、そしてBCP(事業継続計画)の観点だ。
林氏によると、これらの問題に対処するため、ガートナーが提案するのが「デジタル・ワークプレイスのコンポーザブル化」だという。これは、デジタル・ワークプレイスを構成するツールを3つの層に分類するアプローチだ。
ベースとなる第1層は全社員が使用する「全社標準ツール」で、Microsoft 365やGoogle Workspaceなどのスイート製品がこれに当たる。2層目は営業やカスタマーサポート、人事など業務ごとの「領域別ツール」。そして第3層が特定部門や職種のニーズに応じた「活動特化ツール」だ。
「頭痛の種となるのが『活動特化ツール』です。しかし、これを上手く管理できれば、基本スイートだけに依存せず、デジタル・ワークプレイスを進化させることができます」(林氏) 【次ページ】カギとなる「分業モデル」とは
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