- 2021/11/24 掲載
欧州市場サマリー(23日)
スイスの商品取引・資源大手グレンコア、英石油大手のBP、英蘭系のロイヤル・ダッチ・シェル、資源大手のリオ・ティント、BHPグループが0.8─3.0%上げた。
ただ、新型コロナウイルス感染者数が再び増加している中で投資家心理は重く、新たな規制導入への懸念からドイツやフランスの株価が下落した。
AJベルの投資ディレクター、ラス・モールド氏は「欧州大陸の一部で続いている新型コロナウイルス感染の第4波が規制の再導入を促し、結果として市民を不安にさせ、景気回復を脅かしている」と述べた。
中型株で構成するFTSE250種指数は0.89%下落した。オンライン家電販売のAOワールドが14.4%と急落し、サプライチェーン(供給網)の問題を受けて2022年度の利益見通しを引き下げ、重要な年末商戦を控えて商品不足を警告したことが嫌気された。
資産運用会社のリバー・アンド・マーカンタイル・グループは8.8%の大幅高。同業のプレミア・ミトンとアセットコーから買収の可能性について予備的な打診を受けたと明らかにしたことが買い材料になった。
ロンドン株式市場:[.LJP]
<欧州株式市場> 続落して取引を終えた。新型コロナウイルス感染の再拡大による規制強化への懸念が高まり、STOXX欧州600種指数は3週間ぶりの安値となり、下落率は約2カ月ぶりの大きさとなった。一方、エネルギーや資源の銘柄は上昇し、商品価格が上がったのが要因。
石油・ガス株指数、資源株指数はそれぞれ0.53%、0.62%上昇。米国が石油の緊急備蓄を放出するとの報道後に原油価格が上昇し、エネルギー銘柄を押し上げた。
AJベルの金融アナリスト、ダニー・ヒューソン氏は「欧州は今日、非常に厳しい状況に見える。しかし商品関連、特に資源株は好調だ」と述べた。
テクノロジー株指数は3.37%下がり、下落率は約2カ月ぶりの大きさ。金利が上昇するとの見通しが売り材料となった。
バイデン米大統領は22日、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長を続投させることを決め、米国が2022年に政策金利を引き上げるとの見方が高まった。金融市場のトレーダーは、欧州中央銀行(ECB)が22年12月に10ベーシスポイント利上げすることを完全に織り込み、22日の50%の確率から上昇した。
中央銀行が金融支援の終了を計画する中で、新型コロナ感染の第4波が欧州の回復を停滞させるのではないかとの懸念が高まったことも、投資家の売りを誘った。
JFDグループのリサーチ部門責任者、シャラランボス・ピスーラス氏は「22日のテレコム・イタリアの動きといった一過性のイベントや企業関連のトップニュースはあまり長く続かず、新型コロナ感染者数の増加や新たなロックダウン(都市封鎖)措置、欧州経済の成長に対する懸念を覆すことはできない」と述べた。
旅行・娯楽関連株指数は1.78%下落。ドイツ、デンマーク両国で新型コロナ感染者数が増加し、米国が両国への渡航回避を勧告したのが嫌気された。
欧州株式市場:[.FJ]
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが上昇。南欧国債利回りがアンダーパフォームした。欧州中央銀行(ECB)当局者がインフレの上振れリスクに言及したことで、ECBが来年利上げに踏み切るとの見方が強まった。
ECBのシュナーベル専務理事はブルームバーグのインタビューで、ユーロ圏のインフレ率は来年、従来の想定から上振れると見込まれ、中期的にも、ECBの目標を上回る水準にとどまる可能性があるとの見方を示した。
クノット・オランダ中銀総裁もユーロ圏のインフレ率は新型コロナウイルスのパンデミック前でなく、ECBの目標である2%に近づくと見込まれ、金融緩和の縮小を正当化するとの主張。マクルーフ・アイルランド中銀総裁は現行のインフレ傾向が持続すればECBが金融政策を変更する可能性が高まると述べた。
INGのシニア金利ストラテジスト、アントワーヌ・ブーベ氏は「ECBがインフレ上振れを一段と注視しているとのメッセージ」が域内利回りの上昇につながったと述べた。
ECB当局者の発言を受け、金融市場が織り込む、ECBが2022年末までに0.10%ポイントの利上げを実施する確率は100%となった。22日時点では50%だった。
イタリアとギリシャの10年債利回りはそれぞれ約10ベーシスポイント(bp)上昇し1.05%、1.3%と11月上旬以来の高水準となった。
独伊30年債の利回り差は約180bpと20年11月以来の水準に拡大した。
ドイツ10年債利回りは6.5bp上昇のマイナス0.23%と1週間ぶりの高水準となった。
5年後から5年間の期待インフレ率を反映するブレークイーブン・インフレ率(フォワードBEI)は1.8292%と1カ月超ぶりの低水準を付けた。ドイツの10年債実質利回りは一時10bp上昇し約3週間ぶりの高水準となった。
IHSマークイットが23日発表した11月のユーロ圏の総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は55.8で、10月の54.2から上昇したことも利回り上昇につながった。
ユーロ圏金融・債券市場:[DE/BJ]
<為替> 欧州終盤 アジア市場終盤 コード
ユーロ/ドル 1.1262 1.1252
ドル/円 114.99 114.70
ユーロ/円 129.53 129.07
<株式指数> 終値 前日比 % 前営業日終値 コード
STOXX欧州600種 479.25 -6.21 -1.28 485.46
FTSEユーロファースト300種 1856.26 -22.52 -1.20 1878.78
ユーロSTOXX50種 4283.82 -54.87 -1.26 4338.69
FTSE100種 7266.69 +11.23 +0.15 7255.46
クセトラDAX 15937.00 -178.69 -1.11 16115.69
CAC40種 7044.62 -60.38 -0.85 7105.00
<金現物> 午後 コード
値決め 1789.15
<金利・債券>
米東部時間14時5分
*先物 清算値 前日比 前営業日終盤 コード
3カ月物ユーロ 100.57 0.00 100.57
独連邦債2年物 112.43 +0.01 112.42
独連邦債5年物 135.11 -0.27 135.38
独連邦債10年物 170.81 -0.96 171.77
独連邦債30年物 212.10 -2.42 214.52
*現物利回り 現在値 前日比 前営業日終盤 コード
独連邦債2年物 -0.733 +0.013 -0.797
独連邦債5年物 -0.542 +0.055 -0.599
独連邦債10年物 -0.222 +0.080 -0.300
独連邦債30年物 0.102 +0.071 0.030
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