- 2021/12/15 掲載
金融激戦区で再編加速=メガバンク資本戦略も影響―愛知銀・中京銀
愛知県を地盤とする愛知銀行(名古屋市)と中京銀行(同)が10日、来年の経営統合で基本合意した。複数の金融機関が入り乱れ、競争が過熱する激戦区で、経営の合理化に向けた再編が加速。両行は、中京銀株を保有する三菱UFJ銀行の資本戦略も影響して統合に踏み出した格好だが、安定した地位を築けるかは未知数だ。
「一強体制とはならず、金利引き下げ競争は続くだろう」。金融関係者は、愛知銀と中京銀の統合後も地域内で激しいシェア争いが続くとみる。製造業が盛んな愛知県には両行のほか、旧東海銀行の流れを引き継ぐ三菱UFJ銀、同じ第二地方銀行で現在県内トップの名古屋銀行、信用金庫、近隣県の地銀などがひしめく。
長引く超低金利や人口減少で、地銀の経営環境は全国的に厳しさを増す。今年5月には、青森県内で長らくライバル関係にあった青森銀行とみちのく銀行が2024年に合併する方針を発表するなど各地で再編の動きが活発化している。
一方、今回の再編には中京銀株の4割を保有する三菱UFJ銀の投資方針も影響したとみられる。三菱UFJ銀は、旧UFJ銀行が保有していた中京銀株を引き継いだが、顧客層もビジネスモデルも大きく異なる同行株を保有する意義は薄れ、売却の方策を探っていた。
愛知銀と中京銀は統合から約2年後の合併を目指す。愛知銀の伊藤行記頭取は記者会見で「生き残りではなく、地域での存在感を高めるための攻めの統合だ」と強調した。ただ、店舗網の見直しなどによる財務基盤強化だけでは、地域で優位に立つのは難しい。名古屋銀や近隣県の地銀などの動向も注目され、地域金融の専門家は、再編には「次のステージもあるだろう」と指摘している。
【時事通信社】
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