- 2021/12/27 掲載
中国が海外上場巡り新規則案、「VIE」企業にも監視拡大
証監会は、海外上場の監視対象を「変動持ち分事業体(VIE)」構造を持った中国企業に拡大する。
オリエント・キャピタル・リサーチのマネジングディレクター、アンドリュー・コリアー氏は今回の規則案について「中国はオフショア上場に対するネジを締めているが、完全にバルブを閉めるわけではない」と述べた。
証監会は、海外上場を規制する既存の規則は時代遅れであり、新規則案は中国のさらなる開放への意欲を反映したもので「政策の引き締めではない」としている。
VIEは、主に米国を中心とした海外の株式市場に上場する企業が、メディアや通信といった産業への外国投資を制限する中国の規則を回避するために利用されてきた。アリババ・グループ・ホールディングスや京東商城(JDドットコム)など、海外で上場している中国のハイテク企業のほとんどがこの仕組みを利用している。
コリアー氏は「実際の鍵は、どれだけのデータを保持する必要があるか、サーバーの場所、会計責任が米国と中国のどちらにあるかだ」と語る。
証監会は、十分な資料が提出されていれば、この登録手続きは最大20営業日で完了するとしている。
また、中国企業の海外上場を引き受ける国際的な銀行にも、証監会への登録を義務付ける。
<国家安全保障の影響考慮>
中国当局は、中国配車サービス大手の滴滴出行(ディディ)のIPO(新規株式公開)以来、海外上場に対する監督を強化。今回の新規則案は、一部の予想ほど厳しいものではなかった。
リフィニティブのデータによると、中国企業は2021年に米国上場で約128億ドルを調達しているが、7月初めにディディがニューヨークで上場した後はディールが停止している。
証監会は、中国当局は企業の上場場所に関する選択を尊重しており、今回の規則は遡及して適用されることはないとし、企業が海外の上場場所の要件を満たしているかどうかは考慮しないと付け加えた。
しかし、新規則案によると、海外での上場が国家安全保障を脅かす場合、中国政府は企業に資産や事業の処分を命じることができる。
今回の発表は、24日の米国市場がクリスマスで休場となっていた中で行われた。
VIEでは、中国企業が海外上場のためにオフショア企業を設立し、外国人投資家がその企業に出資できるようにする。
リフィニティブのデータによると、世界の全市場における中国のIPOは今年、過去最高の1000億ドルに達した。
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