- 2021/12/28 掲載
トルコ通貨、ひとまず反転=異例の預金保護も先行き不透明
【イスタンブール時事】急落で過去最安値の更新を繰り返していたトルコの通貨リラは、同国のエルドアン大統領がリラ安阻止で打ち出した異例の預金保護措置を受けて、ひとまず反転した。大統領による窮余の策の発表から27日で1週間がたち、リラの対ドル相場は1ドル=10リラ台まで回復したが、大統領の思惑通り通貨防衛に成功するか、先行きには不透明感が漂う。
エルドアン大統領は20日、リラ預金について、外貨換算した場合の為替差損が利息を上回って拡大すれば、損失相当分を政府が肩代わりする措置を表明した。
リラ急落による資産の目減りを不安視する国民が外貨への両替を加速させ、一時は1ドル=18リラ台まで急落した。しかし、大統領は24日のテレビ番組で「20日以降、国内の銀行のリラ預金が計238億リラ(約2500億円)増加した」と強調。国民のリラ買い戻しが進んでいるとの見解を示した。
ただ、リラの急反発については、トルコ中央銀行主導の為替介入の影響の方が大きいとの見方もある。経済コラムニストのウール・ギュルセス氏は、独自の試算を基に「中銀の外貨準備高が20、21両日に約70億ドル(約8000億円)減少した」と指摘。ロイター通信も、この両日に国営銀行が30億ドル相当のリラ買い介入を行ったと報じた。
中銀は12月に入って、リラ買い介入を複数回実施。一連の介入で、中銀の実質的な外貨準備高はマイナスに陥ったとの指摘もあり、今後の介入余力は限られそうだ。
リラ安が再加速すれば、肩代わりのための国の財政負担は一段と増すことになるため、預金保護措置が「長期にわたって機能するのか」(地元エコノミスト)との懸念は根強い。
【時事通信社】 〔写真説明〕トルコの両替所で通貨を交換する人々=20日、イスタンブール(EPA時事)
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