• 2021/12/29 掲載

焦点:来年は米金融行政の転換点、当局が満を持してルール厳格化へ

ロイター

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[ワシントン 28日 ロイター] - 2022年は、米金融行政の転換点になると見込まれる。バイデン政権下で陣容が固まった規制当局が一連のルール変更に動く準備が整い、ウォール街だけでなく米国の事業会社全般にとっても頭痛の種が生まれそうだ。

バイデン政権は発足から1年が経過してようやく金融規制分野の首脳部が顔をそろえ、これからの1年でトランプ前政権時代の緩い規制を180度転換し、ウォール街や金融セクターの新規参入者に厳格な態度で臨もうとしている。特にデジタル資産とフィンテック企業に対する規制整備や、競争促進、気候変動対応が最優先課題とされる。

証券会社BTIGの政策調査ディレクター、アイザック・ボルタンスキー氏は「2022年は、これまで(政権が)口にしてきた重要な金融サービス関連行政の優先項目の一部が現実化する年だ」と指摘した。

与党・民主党左派は、今年中に金融行政の速やかな転換が行われることを望んでいた。しかしホワイトハウスが財務省、連邦準備理事会(FRB)、消費者金融保護局(CFPB)、商品先物取引委員会(CFTC)といった当局の重要幹部ポストを埋めるのに時間がかかり、そうした転換が遅れた、とブルッキングス研究所のアーロン・クライン氏は説明する。

それらのポストの多くが既に埋まったか、数カ月中に埋まる予定となっているため、金融行政がいよいよ始動することになる。

複数の業界幹部は、暗号資産(仮想通貨)が注視すべき重要な分野の1つだと話す。規制当局は既に、デジタル資産のリスクを吟味し、既存の連邦ルールで規制可能かどうか検討に入っている。仮想通貨取引プラットフォームFTX USデリバティブズのザック・デクスター最高経営責任者(CEO)は「この分野を全般的に規制する取り組みが必要だとの姿勢をはっきり打ち出している連邦当局は、幾つかの具体的措置に向けて動き出すだろう」と述べた。

当局は、融資や決済関連商品を携えて新たに銀行業に入ろうとしているフィンテック企業にも手綱を付けようとする公算が大きい。今のところこれらの企業は監督が緩く、消費者に弊害をもたらすとの懸念が強まっているためだ。

例えば10月にCFPB局長に就任したロヒト・チョプラ氏は最近、巨大IT企業と後払い決済サービスを展開する企業に、事業に関するデータの提出を要求しており、2つのセクターは来年、より厳しい監督を受けると推察できる、と複数の業界幹部が指摘している。

米電子取引協会のシニア・バイスプレジデント、スコット・タルボット氏は、チョプラ氏が来年、いわゆる「オープンバンキング」に関する新ルールも策定しそうだとみている。同ルールに基づくと、伝統的な金融機関は顧客が自分の口座についてのデータを自由に入手し、簡単に取引先の乗り換えができるようにする必要があり、競争が促進される。

FRBと司法省が来年、企業合併関連政策の見直しを完了した後には、銀行の合併・買収(M&A)も締め付けが強まる見込み。オープンバンキングとM&A規制強化は、いずれも銀行にとって幸先が良くない。レイモンド・ジェームズは「2022年銀行見通し」に、これまで市場にとって重大な規制圧力は決定的要素になっていないが、来年に向けて投資家の不安は増しつつあると記した。

事業会社の立場では、証券取引委員会(SEC)が上場企業に気候変動関連リスクの開示を求めるルールの素案づくりを進めていることが状況を一変させ、世間や投資家からより厳しい目を向けられる事態になりかねない。

SECは来年第1・四半期中に正式提案するとみられ、そこで企業側が猛反発し、SECと激しい対立が繰り広げられそうだ。

また銀行は、通貨監督庁(OCC)から気候変動問題で厳しい融資ルールを課せられる公算が大きい。OCCは今月、銀行が全ての事業に気候変動リスクを織り込むのが望ましいとの見解を示した。

(Pete Schroeder記者)

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