- 2022/01/21 掲載
ECB、物価予測巡り意見相違 一部が上方リスク懸念=議事要旨
ECBは前回の理事会で、新型コロナウイルス対応の緊急支援策は終了するが資産買い入れは継続し、22年の景気を支援する方針を示した。決定を巡っては「非常に大多数」の賛同が得られたが、ワイトマン・ドイツ連邦銀行(中央銀行)総裁、ホルツマン・オーストリア中銀総裁、ウンシュ・ベルギー中銀総裁などが反対した。
ECBは議事要旨で、高インフレが長期化するシナリオを「排除することはできない」とし、「2023年と24年のインフレ率の基本的な見通しはすでに比較的2%に近く、見通しの上方リスクを考慮すると容易に2%以上に転じかねない」とした。
ラガルド総裁は12月の理事会後の記者会見で、インフレ率の「上方リスクは存在する可能性がある」としていたが、議事要旨の内容はこの発言よりも上方リスクが強く意識されている。
関係者によると、12月の理事会では25人のメンバーのうち5人が反対した。通常はコンセンサスを求め、必ずしも正式な採決を行うわけではない理事会で5人もの反対者が出たのは異例という。
反対者は、資産買い入れプログラム下での債券購入の再調整、パンデミック(世界的大流行)緊急支援策下での再投資の延長などに難色を示したという。
ECBは「中期的にインフレ率を2%で安定させるために、理事会は、適切であれば、いずれの方向にも、あらゆる手段を調整する意思があることを強調すべき」とした。
ECB内では現在の高インフレがどの程度持続するかという点で意見が分かれているようだ。
インフレ率は現在5%と過去最高に達しており、ECB目標の2倍超となっているが、政策的措置を講じなくとも自然に低下するというのがECBの主要な見解だ。
ただ、高インフレが一時的であっても、賃金上昇を加速させ、消費者物価指数(CPI)を長期トレンド以上に押し上げ、ECB目標を上回りかねないほど長く持続するかもしれないと懸念する当局者は増えている。
ECBは今後、金融政策を「段階的に」正常化するとみられているが、議事要旨では「追加的な資産買い入れのメリットが低下し、そのコストと副作用が高まっているという議論もあった」とした。
ECBは12月の理事会で債券買い入れを少なくとも今年9月まで継続することを決定。ただし四半期ごとに買い入れ額は減少する見通し。また年内利上げの可能性は極めて低いとしている。
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