• 2022/01/21 掲載

物価上振れリスク認識、金融緩和策修正は時期尚早=12月日銀議事要旨

ロイター

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[東京 21日 ロイター] - 日銀が21日公表した議事要旨によると、昨年12月16─17日に開いた金融政策決定会合では、今後物価が上振れるリスクが相応にあるとの見方が出たほか、これまでの物価見通しに対するリスク評価が妥当か点検する必要があるとの意見が出ていた。一方、金融緩和政策の修正は、景気後退と物価下落を招きかねないことから「時期尚早」との声も上がっていた。

経済・物価の先行きについて委員の1人が、2022年度までを展望すると政府の経済対策の効果や挽回生産の動きなどもあり、上方修正要因も増えてきているとの認識を示した。

1人の委員は、日本はコロナ下でも雇用を維持してきたことから米国のような賃金の急激な上昇が生じるとは考えにくいとしつつ、「先行き、実体経済とともに物価も上振れるリスクが相応にある」との認識を示した。

別の委員は、これまで値上げ許容度の低さや賃金の上がりにくさといった日本固有の事情を念頭に物価は下振れリスクが大きいと判断してきたが、次回展望リポートでは、最近の予想物価上昇率や原材料コストの上昇などを踏まえ、こうした従来のリスク評価が妥当か改めて点検する必要があると述べた。

こうした問題意識が共有され、年明け1月の決定会合では、2022年度の物価見通しを従来の前年度比プラス0.9%からプラス1.1%に引き上げ、リスクバランスについても2014年10月以降から継続してきた「下振れリスクの方が大きい」との表現を「おおむね上下にバランスしている」に変更した。

<コロナ特別プログラムの扱い議論>

日銀は同会合で、「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム」について、制度を修正した上で一部延長することを決めた。コマーシャル・ペーパー(CP)・社債等の買入れ増額措置を22年3月で終了する一方、中小企業向けの支援策を同年9月末まで半年間延長した。

会合では複数の委員が、足元までの金融環境の改善を踏まえるとプログラムの一部は所期の役割をおおよそ終えており、終了に向かうべきであるとの認識を示した。委員の1人は、オミクロン株の発生などコロナ感染症を巡る不確実性は引き続き高いため、早めに来年度以降の方針を明らかにすることで中小企業や金融機関に安心感を与えることが望ましいと指摘した。

会合では、特別プログラムの見直しがマネタリーベース等に及ぼす影響についても議論された。ある委員は、20年春以降のマネタリーベース増加は企業等の予備的な流動性需要の高まりに対して日銀が潤沢な資金供給によって応えてきた結果であり、感染症の影響が和らげばマネタリーベースも減少する筋合いにあるとの認識を示した。その上で、マネタリーベースの変動は短期的なものであり、長期的なトレンドでみれば増加基調は維持されるため「オーバーシュート型コミットメントとは矛盾しない」と述べた。

別の委員は、イールドカーブ・コントロールの下ではマネタリーベースは長期金利の目標水準への誘導のための資産購入によって事後的に決まる側面が強いことから、「マネタリーベースの一時的な減少自体には大きな意味はない」との見解を示した。

<金融緩和政策の修正は「時期尚早」>

ある委員は、日本の物価上昇は原油や資源価格の上昇を反映した部分が相応にあり、中長期の予想物価上昇率は2%物価安定目標にアンカーされていないと指摘。現段階での金融緩和政策の修正は、景気後退と物価下落をもたらしかねず「時期尚早である」と述べた。

別の委員も、日本の物価動向は米国とは大きく異なり、現行の金融緩和スタンスを粘り強く継続することが重要との認識を示した。

(杉山健太郎)

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