- 2022/03/02 掲載
ECB、ズベルバンク欧州部門閉鎖を命令 オーストリア当局発表
ECBの単一破綻処理委員会(SRB)は今週、ウィーンに拠点を構えるズベルバンク・ヨーロッパが破綻しつつある、もしくは破綻する可能性が高いと判断。オーストリアのFMAは2月28日、同行の活動に対してモラトリアム(支払い猶予期間)を発動した。
閉鎖命令に関するFMA文書が1日遅くに公表されたのは、このモラトリアムが期限切れとなるわずか1時間ほど前だった。
FMAは発表文で、「ECBの命令により、オーストリアFMAは本日、認可を受けた信用機関『ズベルバンク・ヨーロッパAG』に対し、業務継続を全面的に即時禁止する決定を下した」とした。
欧州連合(EU)と米国は、ロシアのウクライナ侵攻に対し、国際送金・決済システムのSWIFT(国際銀行間通信協会)からロシアの大手銀行を排除するなどの制裁措置を取っている。
その結果、ズベルバンク・ヨーロッパは2月28日、傘下銀行のいくつかで「非常に短期間のうちに顧客預金が大幅に流出した」と発表した。
FMAによると、SRBはこの件を欧州の銀行破綻処理規則の下で処理すべきかどうかを判断するためにモラトリアムを命じたが、そうすべきではないと判断したという。
FMAは、破綻基準を満たすかどうか、またいつ満たすかを判断する管財人を任命したと発表。一方、この閉鎖によりオーストリアの預金保証制度が発動され、顧客当たり10万ユーロ(11万1240ドル)までの預金はカバーされるという。
スロベニアとクロアチアの中央銀行は、ズベルバンクの国内事業について、スロベニア最大の銀行グループNLB、および政府が過半を保有するクロアチア・ポスタル・バンク(HPB)がそれぞれ引き継ぐと発表した。
過去2日間の制限を経て、顧客は2日から通常通り資金を引き出せるようになる。
ズベルバンク・ヨーロッパは昨年11月、クロアチア、スロベニア、ハンガリー、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナの子会社を、セルビアのAIK銀行とスロベニアのゴレンスカ銀行を含むグループに売却することで合意に至ったと発表していた。
セルビアの規制当局は2月28日に同意を与えたものの、ゴレンスカはスロベニア子会社の買収を進めることはもはや不可能と表明した。
サラエボに拠点を置くASA銀行は、ズベルバンク・サラエボを買収。また、セルビア共和国政府は28日にズベルバンク・バニャ・ルカを買収した。
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