- 2022/03/08 掲載
資源高でも予想インフレは低位、緩和縮小は適当でない=日銀総裁
[東京 8日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は8日、参院財政金融委員会で、原油や穀物の価格が上昇しても、予想物価上昇率や賃金の伸びは低位にとどまっていると指摘。景気に悪影響を及ぼす金融緩和の縮小や金融引き締めは適当でないと述べた。一方で、ロシアの通貨ルーブルやロシア国債の大幅下落でロシアの通貨危機が「ないとは言い切れない」と警戒感を示した。
渡辺喜美委員(みんなの党)の質問に答えた。
黒田総裁は「単に物価だけが上昇すればよいと考えているわけではない」とし、企業収益が増加して賃金が上昇するもとで物価が緩やかに上昇する好循環の形成を目指していると述べた。資源高がけん引するコストプッシュ型の物価上昇は「家計の実質所得の減少や企業収益の悪化を通じて景気に悪影響を及ぼす」とし、「2%目標の持続的・安定的な実現にはつながらない」と指摘した。
<ロシアの通貨危機に警戒感>
ロシアに対する経済・金融面での制裁に関連して、黒田総裁は、ルーブルやロシア国債の価格が大幅に下落しているとして「ロシア国債の返済に滞りが生ずることはない、通貨危機のようなことがないとは言い切れない」と警鐘を鳴らした。主要7カ国(G7)などによる制裁で「ロシアの外貨準備のうち、すぐ使える部分はかなり減っていると思う」とも述べた。
一方、アジアの新興国は外貨準備を多く保有しており、米国の金利が引き上げられても「危機的な状況になるとは考えていない」と語った。
(和田崇彦)
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