- 2022/03/11 掲載
アングル:ディストレスト債投資家、ロシア向け貸出債権に関心
西側諸国はロシアのウクライナ侵攻を受けて対ロシア制裁を導入。これを受け、一部のディストレスト債投資家が、ロシア向け債権を保有する銀行に対し、ディスカウント価格での債権売却を打診している。
ある金融関係者は、ロシア企業向け貸出債権を購入できる機会があったが、追加制裁で債権を回収できないリスクがあるとして、購入を見送った。
国際決済銀行(BIS)によると、外国銀行のロシアに対するエクスポージャーは1200億ドル台。
ある金融関係者は、米銀2行のディストレスト債デスクから貸出債権を売却しないかとの打診が先週あったが、協議がまとまるとは思えないと発言。
「向こうは関心があると言うかもしれない。ディストレスト市場にとっては刺激的な話だ。ただ、本格的な資金流入はまだ期待できないと考えている」と述べた。
国際的な銀行は制裁に対応した経験があるが、今回の対ロ制裁は規模、スピード、複雑性の点で前例がなく、制裁は今後さらに増える可能性もある。このため、銀行はロシア資産の取引で極めて慎重な姿勢を取っている。
ある米銀の融資担当者は、ロシアの銀行の社債を流通市場で取引する話が一部で出たが、決済方法が不透明で、取引は限られていると指摘した。
制裁のリスクに加え、ロシア資産のプライシングが難しいという問題もある。下げは一時的だとみて、大幅なディスカウントで売却するよりは、継続保有を望む向きもあるという。
ロンドンのある弁護士は、ディストレスト債専門のファンドがロシア債にも関心を寄せているとし、「今何もしていないディストレスト債ファンドは私の知る限り一つもない」と述べた。
JPモルガンは今週、全てのロシア債を月末で新興市場インデックスから除外すると発表した。
ウィリアム・ブレア・インベストメント・マネジメントの新興市場債券ヘッド、マルセロ・アサリン氏は「流動性は少ないが、今日の市場ではビッドとオファーがあった」と指摘。ロシア債は額面の15%前後で売却されているという。
同氏は「インデックスから除外されることで、処分売りが増えるだろう。遅かれ早かれ、債券価格はゼロに近づき、大半のファンドマネジャーは保有できなくなる」と述べた。
(Davide Barbuscia記者、Yoruk Bahceli記者)
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