- 2022/04/28 掲載
商船三井の今期予想、純利益3割減 インフレなどで下期減速を想定
IBESがまとめたアナリスト11人のコンセンサス予想5853億円を下回った。
橋本剛社長はオンライン会見で、「来年の1─3月が強く落ち込むのではないかという想定で数字を作った」とする一方、「実際には物流混乱からの脱却にもう少し手間取り、結果として運賃高止まりの状況が長く続いて損益の減速するスピードも想定よりも後ろ倒しにあることもありうると頭の片隅では思っている」と語った。
連結売上高は同6.6%増の1兆3530億円、営業利益は同16.4%減の460億円を見込む。コンテナ船事業の持分法適用会社オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)の収益が反映される経常利益は同27.3%減の5250億円になりそうだとした。
コンテナ船事業は景気の減速、さらに供給網(サプライチェーン)の制約が緩和するとみて運賃が下がり、減益を見込む。ばら積み船事業は中長期契約からは安定した利益があることに加え、荷動きも底堅いとみているが、市況が良かった前年比では減益を想定している。
為替の前提は1ドル=120円とした。円安は同社の業績にプラスに働く。為替感応度は大きく、1円で53億円程度業績にプラスに寄与するという。
一方で、橋本社長は過度な円安が国内物価の上昇につながることに懸念も示し、いずれ日銀が緩和的な金融政策を変更する可能性に言及した。橋本社長は「日銀の黒田(東彦)総裁も多少、今までのスタンスを変えてくるのはありうるのではないか。そうであれば、行き過ぎた円安は歯止めがかかるのではないか」と述べた。
商船三井はこの日、2022─27年度の6年間で最大3000億円規模を合併・買収(M&A)に投じる方針も明らかにした。うち1000億円は24年度までの計画に織り込んだ。洋上風力発電や海外の不動産事業、物流事業などが念頭にあるという。
併せて発表した22年3月期通期の連結実績は、売上高が前年比28.0%増の1兆2693億円、営業利益が550億円(前年は53億円の赤字)だった。
歴史的に市況が良かったコンテナ船事業が大きく貢献し、純利益は同7.8倍の7088億円だった。IBESがまとめたアナリスト11人のコンセンサス予想平均値の連結純利益6387億円を上回った。
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