- 2022/11/02 掲載
歴史的円安の行方を聞く=国際通貨研究所の渡辺博史理事長
◇為替介入、円安基調転換は困難
―急速な円安の背景は。
一つは米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げ対応時期をうまく認識できなかったために、以前より急激な利上げとなっていることだ。日米金利差だけでなく、もう一つは日本の経常収支の悪化だ。ロシアのウクライナ侵攻がある中、食料もエネルギーも自給率が低いため、貿易収支が赤字になってしまう。
米国のインフレ動向次第ではあるが、今の1ドル=150円前後がこのままどんどん160円、170円、180円と進む感じではないと思う。
―政府・日銀による為替介入をどうみるか。
為替の水準に直接影響を与えるというよりは、政府のポジションを明らかにする必要があったのではないか。政府は円安を放置しない、為替水準に関心を持っているというスタンスを示した。
―今後も介入が必要か。
自力で為替相場を動かそうと思ったら50兆円くらい使わないと動かない。乱高下するような変動となったときには状況を見ながら再び介入することも必要になるとは思うが、基調としてじわじわと円安が進んでいるときに手を出すのはあまりよくない。
―日本経済にとって円安はプラスか。
効果があったのは過去の話だ。企業が(国外に)発注済みの部品などの購入は円安によって支払いが増える。一方で、(輸出品が)売れるかどうかはやってみなければ分からない。円安や物価高騰に対応した経済対策では、対象分野と時期を限定してやらなければ国が持たない。
【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに答える国際通貨研究所の渡辺博史理事長=10月31日、東京都中央区
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