- 2022/11/04 掲載
相場操縦事件、日興社長「再建めど後に身を引く」 半年間無報酬
会見した近藤社長は自らの進退について「再建に道筋を付けた時点で身を引きけじめをつけたい」と述べた。具体的な時期については、明言を避けた。
太田社長は近藤社長の続投について「日興は抜本的なビジネスモデル改革を行い再出発したいと思うが、その実現には強いリーダーが必要。この仕事を任せられるのは近藤(社長)しかいない」と述べ、「再建に道筋が付くまでは全力を尽くしてほしい」とした。自らの退任については否定した。
SMBC日興とSMFGは、金融庁から7日までに「経営責任の明確化」とともに報告書の提出を求められていた。
太田社長は「これを機に全ての膿を出し切る覚悟」とし「再発防止と顧客、マーケットからの信頼回復に100%のエネルギーを注ぎたい」と語った。
両社社長以外、役員への処分としては、SMBC日興の川嵜靖之会長が50%減額を半年、親会社として管理監督責任があるSMFGは國部毅会長が報酬の20%減額を3カ月などとなった。
退任役員についても、日興の久保哲也元会長・社長と清水喜彦元会長・社長、三島裕史元副社長には月額報酬50%の半年分、井上明元専務には30%・3カ月分の返上を求め、了解を得たという。
<コンプラ重視の組織へ>
金融庁に提出した報告書では、相場操縦事案の原因として、法令順守意識の不足や、ブロックオファーの運営におけるリスク管理態勢不足などを挙げ、経営管理態勢の強化やコンプライアンス重視の健全な組織文化の醸成が必要とした。
また、銀証ファイアウオール規制違反に関しては、銀証連携ビジネスに関する不十分なリスク認識や顧客情報管理ルール等の態勢整備不足などが原因とし、顧客情報管理の態勢強化などを行うとした。
一方、SMFGは改善措置命令を受け、SMBC日興に対しての人事関与強化やグループとしてのカルチャー浸透など、適切な経営管理を行うための態勢構築に努める。
また、SMBC日興が策定する計画について、着実な履行を監督し指導していく、とした。
SMBC日興は、取引所の立会外取引を通じて、まとまった株式を売却したい顧客から日興が株式を買い取った上で幅広い投資家に売却する「ブロックオファー」取引をめぐり、株価を不当に操作したとして、元副社長ら幹部と法人としての同社が起訴された。
金融庁は10月7日、SMBC日興に対し、金融商品取引法(相場操縦)に基づく業務停止命令を出した。事件で問題となった一部業務について、10月7日から2023年1月6日までの3カ月間停止するよう求めた。また、監督する立場にある親会社の三井住友FGにも改善措置命令を出している。
SMBC日興は、10月31日に発表した決算において、相場操縦事件が4―9月期収益に与えた影響は250億円程度と明らかにしている。純損益は94億円の赤字で、SMFG傘下入り後、中間決算として過去最大の赤字となった。
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