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  • 2022/12/14 掲載

三菱電機に東芝、日興証券、不祥事を起こした大企業に見る、昭和型組織の悲しい末路

大関暁夫のビジネス甘辛時評

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昨年の三菱電機、今年の日野自動車、SMBC日興証券(以下日興証券)。コンプライアンス(法令順守)という言葉が定着した今の世の中にあって、相も変わらず大手名門企業のコンプライアンス違反不祥事は続発しています。一方で回転ずし業界大手2社でも、相次いでコンプライアンス違反にあたる不祥事が発生。なぜ最近になって有名企業で不祥事が多発しているのかを考えた時、そこには、日本ならではの組織風土や経営姿勢が大きな影響を与えていると推察できます。今回は日本企業で不祥事が相次ぐ理由を掘り下げます。
執筆:企業アナリスト 大関暁夫

執筆:企業アナリスト 大関暁夫

株式会社スタジオ02代表取締役。東北大学経済学部卒。 1984年横浜銀行に入り企画部門、営業部門の他、新聞記者経験もある異色の銀行マンとして活躍。全銀協出向時にはいわゆるMOF担を兼務し、現メガバンクトップなどと行動を共にして政官界との調整役を務めた。2006年支店長職をひと区切りとして独立し、経営アドバイザー業務に従事。上場ベンチャー企業役員を務めるなど、多くの企業で支援実績を積み上げた。現在は金融機関、上場企業、ベンチャー企業などのアドバイザリーをする傍ら、出身の有名進学校、大学、銀行時代の官民有力人脈を駆使した情報通企業アナリストとして、メディア執筆やコメンテーターを務めている。

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なぜ近年になって企業の不祥事が相次いでいるのだろうか
(写真:つのだよしお/アフロ)

不祥事は、日本経済の歩みと根深い関係が

 有名企業での不祥事を考えるに当たり、日本経済の歩みを振り返ることは欠かせません。バブルの崩壊以降、日本経済は下降線をたどり、1990年代後半にはバブルのツケでもあった企業不祥事に端を発した山一証券の廃業や日本長期信用銀行の破綻などから金融危機を招いて、大きく地盤沈下しました。

 このような中で日本市場が世界の信頼に足る場へと復活、再成長させるために、フリー、フェア、グルーバルという新たな三原則をベースに市場の信頼回復が図られました。

 コンプライアンスの考え方は、この流れの中で大手を中心とした企業経営に取り入れられ、2000年代前半には大手企業だけではなく、我が国の企業経営の指針として定着したという流れがあります。

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コンプライアンスの考え方はまず大手企業の経営に取り入れられた
(Photo/Getty Images)

 コンプライアンスの考え方が定着すると、そこに乗り切れていない業界や企業から「コンプライアンス違反」という名の下、不祥事が次々と発覚することになってきました。

 2001年雪印食品の牛肉産地偽装による補助金詐取が社会問題化。2007年には赤福や船場吉兆などの賞味期限偽装問題が相次いで発覚。2013年には大手ホテルや百貨店での食品産地偽装問題が相次ぎました。

 さらに2016年の三菱自動車をはじめ、今度は日本を支えるモノづくり企業で、品質偽装にからむ不祥事が多発します。自動車大手複数社に加え、神戸製鋼所、宇部興産、日立化成、丸善石油など、名だたる名門企業で不祥事発覚が連鎖しました。

 先の雪印食品や船場吉兆、あるいは自動車エアバック製造のタカタなど、問題発覚を機として経営破綻に至る企業もありました。また、不祥事発覚を機に長らく経営が迷走するケースも見受けられます。

 2015年に不正会計が発覚した東芝の場合、不祥事が引き金となって次なる不祥事に飛び火し、上場廃止の危機回避に向け協力を仰いだ物言う株主たちとの間でさらに同社の問題行動があって、今も経営の先行きは不透明な状況が続いています。まるで根深いがん病巣が、全身に転移したかのように思えるほどです。

 冒頭の三菱電機や日野自動車も日興証券そうですが、業界は違えどもこれらの企業の共通項として挙げられるのは、どこも日本の戦後高度成長と共に発展をしてきた昭和企業であるということです。

「大手企業である」ことこそが落とし穴に?

 一見すると歴史も長く組織管理体制が確立されている大手企業でなぜコンプライアンスが徹底されないのか、と思うところですが、むしろ、この企業としての歴史の長さと日本的かつ官僚的な組織管理にこそ思わぬ落とし穴があるのです。

 昭和企業は長らく、終身雇用と年功序列を基本の雇用形態としてきました。終身雇用はメンバーの入れ替わりが少なく、文化が守られやすく、非常に濃いカルチャーが出来上がりやすいのです。年功序列を基本とした組織ピラミッドは、実力主義とはかけ離れた「上へ倣え」の風土づくりを助長しがちにもなります。

 そして、黙っていても右肩上がりで業績が上がり続けた高度成長期には、組織に絶対服従し組織に色に染まることが良しとされ、組織の決め事や組織の常識を皆で守り団結を固めることが最も重要視されていたのです。

 このような組織運営は官僚組織的な管理には大いに役立つものの、一歩間違えて「会社の常識」が「社会の非常識」になってしまっていても、終身雇用の閉鎖的な昭和企業ゆえそれに気がつくことがない。あるいはたとえ誰かが「おかしい」と気がついたとしても、上に立つ者がその状態を「良し」としてしまったなら、「上へ倣え」の組織では「社会の非常識」が「会社の常識」としてまかり通ってしまう、そんな流れになってしまいます。いまだにやまぬ昭和企業の不祥事の連鎖はこうして出来上がってしまった、といえるでしょう。

 ではなぜ今このタイミングで、隠ぺいされ続けた不祥事が続々と表に出ているのでしょうか。

【次ページ】不祥事が続々と明るみに出ているワケ

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