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  • 2023/05/08 掲載

CPQとは何か? 主要7製品を比較、「複雑な見積もり」をどう簡単にするのか

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製造業はじめ、BtoB製品・サービスでは顧客のニーズに合わせてきめ細かな見積もりが求められる。しかし、多くの製品・サービスはますます複雑な構成になってきており、営業が見積書を用意するのも一苦労だ。こうした中、Configure(部品構成)、Price(価格)、Quote(見積書)の頭文字からとったCPQアプリケーションが、営業活動を効率化・高速化するための解決策として、着実に市場を拡大している。ガートナーが2022年11月に公開した資料では、2021年のCPQアプリケーションスイート市場は前年比14.1%成長し、推定で15億2,000万ドルに達した。この記事では、CPQアプリケーションの役割が高まっていることの背景と導入メリットと課題、主要なソリューションベンダー、ユーザー事例についても掘り下げる。

執筆:友永 慎哉

執筆:友永 慎哉

製造業向け基幹系システムの開発を経験後、企業ITの編集、ライター業に従事。ファイナンス、サプライチェーンなど、企業経営の知識を軸にした執筆に強みを持つ。インダストリー4.0など新たな技術による製造業の世界的な変革や、Systems of Records(SoR)からSystems of Engagement(SoE)への移行、情報システムのクラウドシフトなどに注目する。GAFAなど巨大IT企業が金融、流通小売り、サービスといった既存の枠組みを塗り替えるなど、テクノロジーが主導する産業の変化について情報を収集・発信している。

CPQ(Configure Price Quote)とは何か

 CPQ(Configure Price Quote)とは、企業が顧客と商談する際に、ニーズに合わせる形で適切な製品やサービスを構成し、価格を設定し、見積もりを実施するためのアプリケーションのこと。

 従来からCPQアプリケーションは存在しており、部品構成や金額の確認、見積書作成といった作業を遂行するために利用されていた。

 だがここにきて、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進の動きが高まり、売り上げに直結する営業業務の変革が求められている。見積もりや値引きといった定型的な作業をできる限りデジタルを活用して自動化し、捻出した時間を顧客対応に充てたり、まったく新しい業務プロセスに置きかえたりといった動きが出てきているのである。

 CPQアプリケーションを、会社全体としての視点での効率化、顧客獲得フローの自動化、いわゆる顧客の囲い込みを実現することによって、営業力を強化しようという試みである。

 ガートナーは、昨今のCPQアプリケーションの特徴について、営業部門による見積もりの作成と受注獲得の自動化と最適化を果たすことがコア機能と位置付けている。

 さらに、事前構築済みのユーザーインターフェイス(UI)やAPIを介したデジタルコマースチャネルのサポート、SFAとの統合などによる営業担当者の支援、選択した製品とサービスに応じた自動価格設定、ユーザー企業が自社のプロセス、製品、サービスに対応するための拡張フレームワークなどを挙げている。

 CPQには主に以下のような機能が備わっている。

 1つ目は、部品構成のカスタマイズができる機能。複雑な製品やサービスの部品構成を自由にカスタマイズできる機能が求められる。

 2つ目は、正確な価格の自動計算ができる機能である。オプションや部品などの価格変動などを考慮した計算が行えることが必要になる。

 3つ目は見積書の自動作成ができる機能である。顧客が選択した製品やサービスの部品構成と価格に基づいて、見積書を自動的に作成することができる。

 4つ目はワークフロー機能だ。作成した見積もりや値引きの申請などを組織として確認・承認することができる。最後にSFAやCRMとの連携機能も重要だろう。顧客との継続的な関係性が重要なため、SFA(営業支援ツール)やCRM(顧客管理ツール)との連携が求められる。

画像
CPQなら複雑で負荷の高い見積もり業務であっても一気に効率化できる
(Photo:sdx15/Shutterstock.com)

CPQ導入のメリットとデメリット

・CPQのメリット
 CPQアプリケーションを導入することで、従業員の手作業によるミスを減らし、見積もりや提案書を迅速かつ正確に作成できることで、顧客と対話する時間を増やせるなど生産性の向上が見込める。またビジネスの可視性の向上、見積もりの正確さによる顧客満足の獲得、多言語や通貨への対応によってグローバル展開が容易になるといったメリットがある。

・CPQのデメリット
 デメリットとして、最も大きいと言われているが導入コストである。アプリケーションの購入やカスタマイズに加え、トレーニング、インフラ更新などさまざまな支払いが必要になる。また、データ品質が課題になる。設定している製品や価格情報が不正確な状態では、正確な見積もりが難しくなってくるからだ。価格情報などをERPなど他のアプリケーションから取得する場合は、他システムの障害に影響を受けることにも留意する必要がある。

CPQの主要ベンダー6社7製品

 CPQアプリケーション提供企業を評価するMagic Quadrantにおいて、ガートナーが考えるCPQのリーダー製品はSAP、Salesforce CPQ、Salesforce Industries CPQ、オラクルなどである。リーダー以下、チャレンジャー、ニッチプレイヤー、ビジョナリーとしてリストされている製品は以下の表のとおりである。

CPQの主要ベンダー
リーダーSAP、Salesforce CPQ、Salesforce Industries CPQ、Oracle、Tacton、Bit2win、PROS
ビジョナリーVendavo、servicePath、YagnaiQ
チャレンジャーInfor、Epicor
ニッチプレイヤーConga、Pricefx、Apparound
(出典:2022 Gartner Magic Quadrant for CPQをもとに筆者作成)
【次ページ】各社の製品の特徴は?ベンダー・製品ごとの詳細・導入事例

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