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  • 2023/05/22 掲載

日本企業が陥る価格戦略「コストプラス」「競合価格」が抱える“致命的”課題と脱却方法

【連載】価格戦略の必勝法

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日本経済の停滞の原因の一端を担うとされる、日本企業の価格戦略のまずさ。その日本企業の価格戦略で最も多く使われる価格設定手法がコストプラス法である。この方法には“顧客の支払い意思”や“価格弾力性”の観点が欠如している点に課題がある。ではいったいどのようにして価格設定を行うべきか。知っている企業はごくわずかな、その有効的な方法を紹介する。

執筆:サイモン・クチャーアンドパートナーズ パートナー 山城 和人

執筆:サイモン・クチャーアンドパートナーズ パートナー 山城 和人

成長戦略に特化したグローバル戦略コンサルティングファームであるサイモン・クチャーアンドパートナーズのパートナー(取締役)。

外資系コンサルティング会社、投資銀行、事業会社を経て現職。ハイテク・産業機器メーカー、ソフトウェア、小売・消費財等の事業戦略や価格戦略のコンサルティングに従事。日本における価格戦略コンサルティングの第一人者として、多くの執筆、講演を行う。
ロチェスター大学MBA(経営学修士)、日本証券アナリスト協会検定会員
kazuto.yamashiro@simon-kucher.com

photo
支払い意思額と価格反応曲線(後ほど詳しく解説します)
(出典:サイモン・クチャーアンドパートナーズ)

日本企業が多用する「コストプラス法」の2つの課題

 日本企業で最も多く使われている価格設定手法は何だろうか。筆者の長年の価格戦略コンサルティングの経験に基づくと、それは「コストプラス法」である。

 製品開発や製造にかかったコストに社内のハードルレートと呼ばれる一律のマージンを載せて商品の価格設定を行うものだが、特に日本の製造業においてこの価格設定を採用するケースが多い印象がある。

 だが、実際にはコストプラス法はソフトウェアやソリューションを含むさまざまなサービスの価格設定においても広く使われている。このコストプラス法は、1.シンプルで低コスト、2.大抵は必要となるデータがそろっている、3.目標とする利幅を確保することが可能、というメリットがある一方で、重大な課題を有している。

 それは、売る側の論理で価格を設定していて、“顧客の支払い意思”や“価格弾力性”の観点が欠如している点である。

画像
日本の製造業において多く採用されるコストプラス法
(Photo/Shutterstock.com)

 2番目に多く用いられている手法は、競合の価格をベースにした価格設定である。競合価格は価格設定における重要な要素となるが、これだけでは適切な価格設定を行うにはまったく不十分と言わざるを得ない。競合と自社の製品やサービスは同一ではなく、一見同じように見える製品やサービスであっても、顧客にとって価値の観点から少なからぬ差異が存在している。


 これは言い換えると、顧客が競合と自社に対して有している支払い意思が異なることを意味している。この異なる支払い意思を適切に捉えることなく、多くのケースで競合価格をベースに恣意(しい)的、感覚的な価格設定が行われている実態がある。

 では、いったいどのようにして価格設定を行えばよいのだろうか。以降では、利益を最大化するために効果的な価格設定の手法について紹介する。 【次ページ】知っている企業はごくわずか…最適な価格設定のための有効な手法

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