- 2007/03/06 掲載
【国内ITアウトソーシング市場調査】企業はITを所有から利用へ
・2006年の国内ITアウトソーシング市場は堅調に拡大、市場規模は前年比6.7%増の1兆8,822億円 ・サービス単価は下落しているが、顧客の意識がITの所有から利用へと変わり、2008年以降の市場規模予測は上方修正 ・サービス契約は「包括型、人月/製品ベース」から「選択型、見える化、価値ベース」へと変化が見られるが、顧客にとっての重要な利用目的は依然として「コスト削減」 |
IDC Japanは、国内ITアウトソーシングの市場規模予測を発表した。2006年の国内ITアウトソーシング市場規模は前年比6.7%増の1兆8,822億円だった。同市場は、2006年から2011年までの5年間で年平均5.6%で成長し、2011年の市場規模は2兆4,741億円に達する見込みである(図参照)。
2006年の国内ITアウトソーシング市場が前年比6.7%増と、堅調に成長した要因としては、金融業を中心としたアプリケーションマネジメントの普及、Web2.0に代表されるインターネット関連需要増によるホスティングサービスの拡大、ベンダーによる顧客の情報システム部門、子会社との資本提携などがあげられる。今後も安定した成長が見込め、2008年以降緩やかに前年比成長率を下げながら推移すると見ている。
一方、ハードウェア製品の単価下落や包括型契約の見直しの影響により、実質的なサービス単価の下落が継続している。また、インフラストラクチャ関連サービスの多様化やリース会計基準の変更によって、顧客の意識はITの所有から利用へと移行、サービス利用企業の増加とベンダーがIT資産を所有するサービスモデルの普及が加速傾向にあるとみている。その結果、2008年以降の国内ITアウトソーシング市場規模予測を前回調査(2006年10月)から上方修正し、2010年の同市場規模は158億円増の2兆3,540億円と予測している。
ITアウトソーシングの普及に伴い、その契約内容は「包括型、人月/製品ベース」から「選択型、見える化、価値ベース」へと緩やかに変化している。一方、国内企業を取り巻く市場環境は目まぐるしく変化しており、予測は困難に。先行の不透明感は、企業のITアウトソーシングに対する価値認識を限定的にし、コスト削減など短期的な利点にのみ注意が向けられがちである。
「サービスベンダーは、ITアウトソーシングサービスがもたらす長期的な価値を明確に市場に伝え、市場環境の変化に対し迅速に対応できるサービスモデルの開発することが重要である。たとえば、拡張性と柔軟性に焦点を当て、インフラストラクチャとアプリケーションを分離/連携させ、最適なIT資産を選択/活用するSOA型サービスモデルが有効になるであろう」とIDC JapanのITサービス担当リサーチマネージャー 松本 聡は述べている。
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国内ITアウトソーシング市場 2006年の推定と2007年~2011年の予測
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