- 会員限定
- 2024/04/10 掲載
岸田首相 訪米のリスクとは? なぜ低支持率でも「国賓」なのか
連載:小倉健一の最新ビジネストレンド
“とある層”で激変したバイデン大統領の支持率
米ギャラップによる世論調査では、バイデン大統領の支持率は、就任当初は57%を記録したものの、2021年8月のアフガニスタン撤退以降、40%前後(不支持率は55%)で推移している。支持の内訳では、民主党支持者からは就任時から現在に至るまで高い支持率を安定的に誇り、反対に共和党支持者からは低い支持のままという傾向が続いている。
このあたりは、トランプ大統領時代から特に顕著になった党派的分断(大統領がどんな政策をしようとも、共和党支持者は共和党候補しか支持せず、民主党支持者は民主党候補しか支持しない)が背景にあるようだ。
支持の内訳で大きく変わったのは、無党派層、非白人、34歳以下の支持率だ。無党派層は、就任当時の61%から直近(2024年3月1~20日)では34%に。非白人は80%から51%に、34歳以下では70%から31%へと支持が半減してしまった。無党派層の支持率の低さは、大統領選挙にとって大きなマイナスだ。
また、昨年10月にはじまったイスラエルとガザの問題では、民主党の伝統的な支持層であるユダヤ人コミュニティーと、イスラエルのガザ地区への攻撃を好ましく思わない若者やマイノリティ層との分断が起きている。
イスラエルの武力攻撃を支持しても、攻撃をやめさせようとしてもどちらかの支持層が離れてしまうという、難しい局面がしばらく続くことも予想される。
さらに悩ましいことがある。それは、バイデン大統領が現在81歳、現時点でも歴代最高齢であることだ。来年からさらに4年間の任期を全うすることができるのかは、米国民の大きな関心事項だ。
世論調査でわかった“米国民の声”とは
ニューヨーク・タイムズ/シエナ・カレッジの世論調査(2024年2月25~28日)では、「この候補者は有能な大統領になるには歳をとりすぎていると思うか?」という質問に対して、以下のような結果が出た。米国民の心配は、バイデン大統領に向けられていることになる。こうした高齢懸念の中行われた、3月の「一般教書演説」では、大統領選を強く意識してトランプとの違いをこれでもかと強調し、中絶の権利や国境管理の問題を元気よく演説することに成功した。
対するトランプ陣営だ。2020年の大統領選挙の結果を覆そうとした「議会襲撃事件」や機密文書の持ち出しなどで起訴され、不倫相手への口止め料支払いに関する公判が4月15日に開始されることになる。しかし、トランプ陣営は、これら一連の裁判を「魔女狩り」だと決めつけ、むしろ党内の支持固めに利用してきた。 【次ページ】「国賓訪米」に向けた日米の狙いとは?
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR