ITOMOS研究所所長 小倉 健一
1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長。現在、イトモス研究所所長。著書に『週刊誌がなくなる日』など。
「日本のコメは大丈夫だ。輸出で取る分の方が絶対大きい」(船橋洋一『宿命の子』文藝春秋、2024年)──。この言葉は、かつて自民党の農水族として知られた松岡利勝元農林水産大臣のものである。松岡氏は続けて、「農業を改革しなければ、農民の基盤そのものがなくなってしまう」と指摘した。この警句は、今日の日本の農政、農業協同組合(JA)、そして農林水産省が直面する課題の本質を突いている。時代は変わり、農業を取り巻く環境も大きく変化しているが、旧態依然とした構造と発想から抜け出せないでいるのが日本の農業の現状である。本記事では、小泉進次郎農相の改革と、それに反対する派閥との関係を整理しながら、日本の農業問題の解説する。