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- 2024/05/14 掲載
オラクルのデータベースはクラウドやAIでどう変わるのか? 本社DBトップが語ったこと
データベース運用/開発の一元化で煩雑さを削減
オラクルといえば、Oracle Databaseがあまりに有名だが、その開発ビジョンはあまり知られていない。オラクル・コーポレーション オラクル・データベース・サーバー・テクノロジー担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのアンドリュー・メンデルソン氏によれば、現在「あらゆる規模やユースケースのための、最新アプリによる分析、開発および実行の簡素化」を掲げているのだという。
同氏によれば、その新しい成果が「Converged Database」と「Autonomous Database」だ(図1)。
まず前者のConverged Databaseは、Oracle Database 21cから導入されたマルチテナント対応アーキテクチャーだ。単一のプラットフォーム上で複数の論理データベースの運用が可能なPluggable Database機能を活用し、多様なデータベースをOracle Database上で実行する。
データの増加と多様化が進む中、企業ではデータ活用に向けて、データの種類や目的別のデータベースの使い分けが進められ、AWSはじめ大手クラウドベンダーが提供するデータベースサービスは10を軽く超える。
Oracle Databaseはもともと、構造化データを扱うためのRDBMS(リレーショナルデータベース)だったが、現在は非構造化データも扱うことができるようになっている。
巨大で多様なデータを活用するにあたって課題となっていたのが、データベースごとに開発や運用管理の手法が異なる点であり、「技術修得、さらにデータベースごとのデータ統合の煩雑さが、技術者のイノベーションを削いできました」(メンデルソン氏)。
Converged Databaseは、この課題解消を目指し、データベースアクセスのSQLも各専用データベースをサポートするように拡張する。
運用管理の一元化だけでなく、アプリ開発も同社のSQLの習得だけで済むことで、技術者の負担は大幅に軽減され、それだけ開発に集中してあたれるとメンデルソン氏は訴える。
Azure上でOracle、進むマルチクラウド対応
一方のAutonomous Databaseは、より“手軽さ”を追求したフルマネージドのクラウドサービスとなる。Oracle Databaseに最適化された、ソフトウェアとハードウェアを組み合わせたOracle Cloud Infrastructure(OCI)のクラウドデータベース基盤「Exadata Database Service」を、その上で稼働するあらゆるデータベースのマネージドサービスとともに提供する。「従来からのExadata Database Serviceは、ボタン1つでデータベースのハード側のプロビジョニングが完了する素晴らしいサービスですが、データベースの構築と管理はオンプレミスと同様、ユーザーが行わねばなりません。対してAutonomous Databaseではデータベースのプロビジョニングからバッチ適用、アップグレードなどの作業までAIが行い、Oracle Databaseの能力を確実かつ最大限に利用できる環境を提供します」(メンデルソン氏)
もっとも、Autonomous Databaseはユーザーに高い利便性をもたらす半面で、Oracle Databaseの強みであったハードウェア基盤を問わない可搬性を失わせてしまったとメンデルソン氏は振り返る。独自のクラウドデータベース基盤とマネージドサービスを用いるその仕組みから、同様の環境を他のクラウドサービス上に整備することは不可能になったためだ。
そこでオラクルが今、注力しているのが、「Oracle Database@Azure」に代表されるマルチクラウド化だ。同サービスはマイクロソフトのDC内に並置されたOCIで稼働するフルマネージドのOracle Databaseサービスであり、Azureサービス上でOracle Databaseインスタンスを展開、管理、使用することが可能だ。
「現在、マイクロソフト以外のクラウドベンダーと同様のサービスの実現に向け対話を進めています。ユーザーとしては選択肢が増え、クラウドベンダーとしては新たな収益機会が得られ、オラクルとしては新規ユーザーの獲得が見込める、いずれにとってもメリットのあるサービスです。今後も新たなパートナーシップの発表を予定しています」(メンデルソン氏) 【次ページ】AIは重点領域、LLMとベクトル活用を推進する
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