• 2008/06/02 掲載

【セミナーレポート】エンタープライズ2.0による情報利活用のステップとは

膨大な情報のなかから必要なナレッジを利活用し、イノベーション創出につなげていく仕組みが不可欠

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情報爆発時代を迎えた今、イノベーションを創出し企業価値を高めるには、社員一人ひとりのアイデアを源泉とし、そのアイデアを製品やサービスにいち早く投入することが重要だ。それにはどのような情報の利活用をすべきなのだろうか。5月23日に開催されたセミナー「情報の利活用で攻めに転じる日本企業」では、これからの情報利活用に欠かせないエンタープライズ2.0のコンセプトやその活用方法を解説。その上でイノベーション創出を支援する次世代コラボレーティブウェア「StarOffice Xシリーズ」が紹介された。

【動画】 イノベーションの創出により企業価値の向上を実現

ブログやSNSの活用で
知的生産性の向上を目指せ

【マネジメント】エンタープライズ2.0による情報利活用のステップとは

みずほ情報総研
コンサルティング部 コンサルタント
平古場浩之氏

「企業のIT戦略は効率化を目指す時代から、柔軟性・俊敏性を目指すべき時代へとシフトしています。」

 基調講演「情報爆発時代に求められるシステム基盤とは」に登壇した、みずほ情報総研 コンサルティング部 コンサルタントの平古場浩之氏は冒頭でこのように述べ、ITによる知的生産性向上の必要性を強調した。その背景として、プロジェクトチーム制やバーチャル組織など、従来の縦割り組織にとらわれない業務形態が増加・一般化していることを挙げる。それに伴い、システム化し共有すべき情報が肥大化。「特にグループウェアなどで利用する構造化された“硬い情報”に比べ、メールデータなど非構造型の“やわらかい情報”が劇的に増大。同時にその重要性がますます高まっていることが大きな要因です」と平古場氏は指摘する。

 実際に、IDCが2007年3月に発表したデータ量増大の予測調査によると、ワールドワイドで2006年には161エキサバイトであったデータ量が2010年には988エキサバイトへ急増すると予測されている。しかも、その80%以上がメールを中心とする“やわらかい情報”であるといわれる。メールはさまざまなビジネスシーンで利用されており、同じ情報を複数のユーザーに配信することも、同じような情報が異なるユーザーから配信されてくることもある。

 平古場氏は「情報量そのものが増大していることに加え、情報の流通量も加速度的に拡大しており、そのことが“情報爆発”を引き起こしているのです」と分析する。そうしたなかで、適切な情報の管理が追いつかず、本来共有されるべき情報が個人のPCに保管されたままになっていたり、情報流通の過程で必要なデータが喪失・散逸したりというケースも少なくないという。「その結果、シームレスな情報活用が阻害され、柔軟性・俊敏性を兼ね備えた知的生産性を高めるための戦略的IT活用を難しくしているのです」(平古場氏)。

 では情報爆発に対応し、ITによる知的生産性向上を実現するのはどうすればいいのだろうか。平古場氏は「メールに代わる“やわらかい情報”を活用する仕組みが必要」と訴える。そのキーワードとなるのが「エンタープライズ2.0」である。「エンタープライズ2.0とはWeb2.0的な技術群やサービス、コンセプトをベースとして、企業における情報活用のあり方と、これを支える基盤となる情報システムのあり方を変えること」と平古場氏は主張する。たとえば、ブログ、SNS、Wiki、RSSなどの活用が考えられる。

 従来も掲示板や電子会議室などが利用されていたが、これらは公の場を用意し、そこに利用者が集まってくる形。「利用者にとっては出かけていく感覚でハードルがありましたが、ブログやSNSは主体が個人。場に制約されず、組織を横断する形でテーマごとに議論や発言が可能。メールと比較し、情報流通量を増やすことなく、ボトムアップによる自由なコミュニケーションを行えます。これにより、コミュニティの多様性と質の向上が期待できます」と平古場氏は説明する。


情報活用のシナリオと
目標設定の明確化がカギ

 しかし、ただこれらのツールを導入するだけでは大きな効果は期待できないという。そこで、みずほ情報総研ではナレッジマネジメントの提唱者である野中郁次郎氏が発表したSECIモデルをもとに、情報活用のプロセスを体系化した。

【マネジメント】エンタープライズ2.0による情報利活用のステップとは

セミナー当日の会場風景。
満席の参加者が熱心に耳を傾けていた

 具体的にはナレッジの種ともなるべき情報の効率的な収集を行う「収集」、その情報を保管・蓄積する「蓄積」、業務や利用目的に応じた情報の整理・体系化を進める「体系化」、膨大な蓄積情報から目的の知識を素早く探し出す「検索」、情報への気づきやコミュニケーションから新たなアイデアを創出する「誘導」、協働作業によるナレッジの創出・ブラッシュアップを促す「連結」、理解した知識や情報をユーザー自身の言葉や経験として血肉化する「内面化」、幅広い知識から得られた新たな価値の創出・提供を進める「表出」という8つのプロセスを定義。それぞれに対応した最適なツールを使い分けることで、情報活用サイクルを円滑に機能させていく必要性を提唱している。

「たとえば、『収集』のプロセスでは情報トレンドやキーマンの行動パターンなどを把握する上でソーシャル・ブックマークが有効でしょう。『検索』のプロセスではエンタープライズサーチ、『連結』以降のプロセスではイントラ・ブログや社内SNSなどが効果的です。」

 さらに実際の運用では、これらの機能をひとつの画面で、統合化されたワークプレイスとして提供するような仕組みも考える必要があるという。各機能をバラバラに利用するのでは、シームレスな情報連携が滞ってしまうからだ。平古場氏は「導入効果を最大化するには、まず情報の整理、棚卸しをした上で、目的に応じて最適なツールや保管方法を検討。情報活用のシナリオと目標設定を明確にすることが重要です」と述べ、氾濫する情報を事前に整理しておく必要性を訴えた。


イノベーションの創出を支援する
「StarOffice Xシリーズ」

視聴する
【マネジメント】エンタープライズ2.0による情報利活用のステップとは

日本電気(NEC)
第二システムソフトウェア事業部
グループマネージャー
久保田宏之氏

 これを受けて登壇したNEC 第二システムソフトウェア事業部 グループマネージャーの久保田宏之氏は、「イノベーションの創出により企業価値の向上を実現~コラボレーティブウェア StarOffice Xシリーズによる情報利活用の促進~」と題する講演を展開。企業の情報爆発時代に対応した有効なツールとして、StarOffice Xシリーズの優位性を紹介した。

 StarOffice Xシリーズは情報の作成から気づき、検索、活用までのサイクルをトータルにサポート。企業内の情報を安全かつ快適に管理・活用できる基盤となるものだ。「日本型組織に対応した情報管理と個人が自由に情報発信できる場の提供を兼ね備えることにより、情報の利活用を促進し、アイデアの創出を支援できるが最大の強みなのです」と久保田氏は力を込める。

 特徴的な機能としては効率的な情報収集を実現する「ビジネスナビゲータ」が挙げられる。「これは必要なサービスや情報のスピーディな利用に適した統合作業環境を実現する機能です。スケジュール、メール、電話帳、キャビネット、ブログをひとつの画面上に集約し、情報への気づきを促進するRSSリーダーなどの多様なWidgetを利用者が目的に応じて配置することにより、ストレスを感じさせない利用環境を提供します」と、まず久保田氏は快適な利用環境を紹介した。

 また、キャビネットのフォルダ管理と細かなアクセス制御によって安全に文書を共有できる点も大きなメリットだ。しかも、組織や職位単位にアクセス権を設定可能。「一般的なグループウェアは人に権限を与えるため、人事異動などで所属部署や職位が変わっても、旧権限で情報にアクセスできてしまいます。こうした状況はコンプライアンスやITガバナンスの観点から問題がありますが、StarOffice Xシリーズならそうした不安を払拭できます」と久保田氏はそのメリットを強調する。

 さらに、「自由な情報発信や議論の場として企業に取り入れられつつあるブログに関しても、企業内の利用では扱うテーマによってはメンバーを限定しなくてはならない場合があります。StarOffice X ブログでは共通のユーザー管理によりメンバーを限定したブログを実現できます」と久保田氏はセキュリティの重要性を強調する。

 情報へのすばやい到達を実現する「情報シナプス」も注目に値するという。これはある情報に対する操作ログをNEC独自の関連付け技術で解析し、関連情報のデータベースをダイナミックに生成する技術。「関連する情報を1クリックで芋づる式に取得できるため、膨大な情報のなかから必要とする有効な情報への迅速なアクセスが可能です。これにより、情報収集が格段に効率化され、ユーザーは本来必要なアイデア創出の作業に注力することができるでしょう」(久保田氏)。

 このようにStarOffice Xシリーズは個人パフォーマンスを組織力につなげ、企業価値を向上させる革新的なコラボレーション環境を実現。「情報利活用によりイノベーションを促進し、顧客価値の創出を支援します」。最後に久保田氏はこのように述べ、StarOffice Xシリーズの優位性を訴えた。

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