- 2025/12/26 掲載
国産AIロボットでクマ被害ゼロへ「KUMAKARA MAMORU」プロジェクト始動
ロボットが里山の境界を警戒・監視し、クマが人里に侵入する前に検知・威嚇する仕組み
プロジェクトに用いられるロボットは、不整地でも自律的に歩行可能なAI四足歩行機体であり、急斜面や密林といった従来の車両やドローンでは到達困難な地形での巡回が可能とされる。また赤外線サーマルカメラと連動したAI解析によって夜間や視界の悪い条件でもクマを検知し、管理者へリアルタイムで映像・位置情報を共有する機能を備える。さらに、最大30kgのペイロード(搭載重量)に対応し、大型スピーカーや強力フラッシュライトといった装備でクマを追い払う手法を取り入れている。
こうした技術的特徴は、Highlandersが開発するAI搭載四足歩行ロボットのこれまでの実証実験や製品ラインアップと連続性がある。同社は2025年5月に、不整地で重量物を運搬可能な四足歩行ロボット「HLQ Pro」のベータ版を提供開始しており、ロボット技術を危険環境下での業務や社会課題解決へ応用する方針を示している。
国としてもクマ被害対策は喫緊の社会課題と位置付けられており、政府が令和7年11月に公表した「クマ被害対策パッケージ」では、人の生活圏からクマを排除し、個体数管理等を強化する総合的な政策が示されている。また環境省などが公表する最新の出没・人身被害件数の速報値では、クマによる事故発生や出没が継続的な問題であることが示されている。
一方で、従来の対策手法では猟友会などの人手に依存した追い払い・駆除が中心であり、高齢化や人材不足などの制約が顕在化している点が指摘される。これを受け、AIやロボット技術を活用した非殺傷の追払い・監視システムの構築や、鳥獣被害対策のデジタル化を進める動きも報じられている。
Highlandersは今後、里山環境での実証実験を本格化し、ロボットによる介入がクマの行動にどの程度の抑止効果を持つかを検証するとしている。自治体や地域団体と連携しつつ、ロボットを活用したクマ対策のモデルを確立し、将来的な全国展開を目指す計画である。
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